病院80巻2号

2021年02月発行

特集 大学病院は地域病院を支えられるか 地域医療問題—地域医療構想策定下の地域病院と大学病院の関係

地域の病院経営に貢献できる医学教育—課題解決型高度医療人材養成プログラム事業を中心に

著者： 馬場園明¹

所属機関： ¹九州大学大学院医学研究院医療・経営管理学講座

ページ範囲：P.141 - P.144

■はじめに
　今日の医療は，疾病構造の変化，少子・高齢化の進行に伴う社会保障財政の逼迫化，病院完結型医療から地域完結型医療への政策への転換，医療技術の高度化・専門分化，医療に対する国民意識の変化，新しい感染症の出現など，多様な課題に直面している．これらの課題に対応するため，医学部には，教育を通じた地域の病院経営への貢献が求められていると思われる．このような背景から，文部科学省は，平成26（2014）年度から課題解決型高度医療人材養成プログラム事業を進めており，平成29（2017）年度では病院経営支援に関する領域の事業を支援している．そこで本稿では，この事業で採択されたプログラムの内容，筆者が担当する九州大学大学院医学系学府医療経営・管理学専攻（以下，当専攻）の教育，ならびに2020年から，最も医療経営者を悩ませている新型コロナウイルス対策について，医療経営・管理学の立場から述べてみたい．

参考文献

1）文部科学省：平成26年度題解決型高度医療人材養成プログラム概要，2014

2）文部科学省：課題解決型高度医療人材養成プログラム（平成29年度選定）の中間評価結果について，2020

3）令和2年度九州大学大学院医学系学府医療経営・管理学専攻専門職学位課程 授業計画（Syllabus），2020

4）全国医学部長病院長会議：新型コロナウイルス感染症に関する大学病院の経営状況調査（7月度），2020

5）CBニュース：「オンライン診療」の実施率，全国で13.2％，2020年5月29日