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救急救命士の活用—病院内での位置づけと今後の可能性
著者: 猪口正孝1 大桃丈知1
所属機関: 1平成立石病院
ページ範囲:P.341 - P.346
文献購入ページに移動救急救命士に関しては,厚生労働省(以下,厚労省)の救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会1)ののち,医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会2)で議論され,救急救命士は救急外来まではその資格に応じた医療行為を行えることになりそうである.院内でその能力に応じて救急救命士の活動範囲が広がることは,病院の人手不足を鑑みると喜ばしい.医療が高度になり多様性と複雑性を持つに及んで,少し前まで医師と看護師,事務職のみによって運営されてきた医療に,臨床工学技士(ME)やセラピストなどの診療系の専門職と医療情報管理士や医師事務作業補助者などの医療事務系の専門職を創出されてきている.
救急救命士は,そうした流れの中で救急現場に特化して創出された診療系の専門職である.そもそも医療機関外で活動することが目的であったため,メディカルコントロールの下,自分で観察し考え,ある程度の決断をするという,医師のみ持ちえた行動様式を条件付きではあるものの有している特性がある.病院外に限られた救急救命士の資格要件から,これまで私たちは病院救急車を利用した患者搬送を主に担ってもらうことを考えていたが,ある日,彼らのこうした特性に気づき,大いに院内で救急救命士に活躍していただいている.本稿は平成立石病院(以下,当院)の経験を基に,救急救命士の活用について実践的なヒントが得られるように願って書き進めたい.
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