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特集 働き方改革のための生産性向上 看護業務の生産性向上
—看護業務効率化先進事例—働きやすさのバロメーターである「残業時間」「離職率」の低減に寄与したユニフォーム2色制とpolyvalent nurse育成
著者: 大平久美1 廣田昌彦1
所属機関: 1熊本地域医療センター
ページ範囲:P.429 - P.431
文献購入ページに移動病院職員が働く上での精神的バックボーン,それは病院理念である.熊本地域医療センター(以下,当院)には「かかってよかった.紹介してよかった.働いてよかった.そんな病院を目指します.」という病院理念がある.2013年に筆者の一人である当時の院長は,「人がいなければ病院は成り立たない.患者さんや紹介医だけではなく職員も大切な病院の顧客である.今当院に必要なのは,①患者さんに来ていただくこと,②かかりつけ医に患者さんを紹介していただくこと,そして③辞めないでもすむ働いてよかったと思える就労環境を作ることである」と考え,理念を刷新した1,2).
当時の看護部は看護師確保に難渋しており,1看護単位の閉鎖を余儀なくされた.この状況に歯止めをかけるべくさまざまな改善策を講じたが1,2),「残業が多い」「先が見えない」「もっと実践力を磨きたい」といった理由で年40〜45名が離職した.施設基準を満たす必要に迫られ,離職者とほぼ同数の看護師を確保した.恒常的に新入職者の指導に追われる看護師たちは,疲弊感を募らせ,ワーク・ライフ・バランスを崩し,よりよい職場環境を求めて去って行った.「働いてよかった」という病院理念には程遠く,離職の悪循環に陥っていた.
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