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文献詳細

雑誌文献

病院80巻5号

2021年05月発行

文献概要

特集 働き方改革のための生産性向上 看護業務の生産性向上

—看護業務効率化先進事例—働きやすさのバロメーターである「残業時間」「離職率」の低減に寄与したユニフォーム2色制とpolyvalent nurse育成

著者: 大平久美1 廣田昌彦1

所属機関: 1熊本地域医療センター

ページ範囲:P.429 - P.431

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■はじめに
 病院職員が働く上での精神的バックボーン,それは病院理念である.熊本地域医療センター(以下,当院)には「かかってよかった.紹介してよかった.働いてよかった.そんな病院を目指します.」という病院理念がある.2013年に筆者の一人である当時の院長は,「人がいなければ病院は成り立たない.患者さんや紹介医だけではなく職員も大切な病院の顧客である.今当院に必要なのは,①患者さんに来ていただくこと,②かかりつけ医に患者さんを紹介していただくこと,そして③辞めないでもすむ働いてよかったと思える就労環境を作ることである」と考え,理念を刷新した1,2)
 当時の看護部は看護師確保に難渋しており,1看護単位の閉鎖を余儀なくされた.この状況に歯止めをかけるべくさまざまな改善策を講じたが1,2),「残業が多い」「先が見えない」「もっと実践力を磨きたい」といった理由で年40〜45名が離職した.施設基準を満たす必要に迫られ,離職者とほぼ同数の看護師を確保した.恒常的に新入職者の指導に追われる看護師たちは,疲弊感を募らせ,ワーク・ライフ・バランスを崩し,よりよい職場環境を求めて去って行った.「働いてよかった」という病院理念には程遠く,離職の悪循環に陥っていた.

参考文献

1)廣田昌彦:「病院トップの考え方」や「病院経営方針」を明確化した病院理念の大切さと病院活性化策を説く.新医療41:18-21,2014
2)藤井将志:保育施設開設や院内デイケアで職員の働く環境を好循環させる.保険診療73(2):2-5,2018
3)大平久美,中村絵美,杉本理恵,他:残業削減の取り組み—ユニフォーム2色制の効果.看護実践の科学42:24-32,2017
4)大平久美:「ユニフォーム2色制」と「ポリバレントナース育成」による持続可能な残業削減への取り組み.看護72:20-27,2020
5)大平久美:「ユニフォーム2色制」「ポリバレントナース」「walking conference」3本の矢による持続可能な残業削減,効率化の工夫.看護部長通信18:52-58,2020
6)大平久美,廣田昌彦:病院理念を本物にした3本の矢.Web医療タイムス医療界レポート,2020年7月3日版:1-3,2020
7)大竹文雄,小池智子:〔対談〕Nudgeで業務改善—行動経済学の知見からデザインする.週刊医学界新聞3327号:1,2019
8)井部俊子:看護のアジェンダ(182)バーガンディチームとピーコックグリーンチームの効用.週刊医学界新聞3360号;6,2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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