icon fsr

文献詳細

雑誌文献

病院80巻7号

2021年07月発行

文献概要

特集 地域包括ケア時代における病院の在宅への関わり方 大学病院と協働する在宅支援のあり方

総合診療科を有する大学病院の取り組み

著者: 牧石徹也1

所属機関: 1島根大学医学部総合医療学講座

ページ範囲:P.610 - P.613

文献購入ページに移動
■はじめに
 本邦において,総合診療科を有する大学病院の数はどの程度かご存じだろうか.筆者が全国に82ある大学附属病院(分院を除く)のホームページを調べたところ,70病院(85%)の「診療科のご案内」ページに総合診療科が掲載されていた(2021年4月11日閲覧).国立大学や公立大学,私立大学といった経営母体の違いによっても比率に差はなく,つまり,今や多くの大学の附属病院に総合診療科は存在する.もちろん,それぞれの大学病院において総合診療科が果たしている役割は千差万別であろう.大学病院の“顔”として華々しい役割を担っている総合診療科をメディアなどで目にする一方,中にはマンパワーの問題や大学病院の経営方針から初診外来のみ診察を行い2回目以降は各専門診療科に紹介するというケースもあると耳にする.かつて,1990年代後半から2000年代にかけて多くの大学病院で総合診療関連の部門が開設された時期があった.成功例は必ずしも多くないとされ,同部門が廃止となった大学病院も散見される1).「大学病院と総合診療は相容れない」といった議論を経て,今,あらためて多くの大学病院において総合診療科が設置されている.果たして,再び一過性のブームに終わるのであろうか.
 現在,総合診療医育成への社会的要請が一層強まっている.大学病院の総合診療科に期待されている大きな役割の一つが総合診療医の育成(教育)であることは間違いない.本稿では,本特集のテーマである「地域包括ケア時代における病院の在宅診療・療養への関わり方」について,主にその担い手となる総合診療医育成の視点から,地方大学である島根大学医学部総合医療学講座(以下,当講座)の取り組みを中心に紹介したい.

参考文献

1)橋本佳子:総合診療部,大学には根付きにくく「廃止」に.m3.com(2019年2月20日). https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/655649/
2)三和護:大学病院総合診療部に明日はあるのか—付きまとうアイデンティティ・クライシス.日経メディカル(2018年3月20日). https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201803/555272_2.html
3)西智弘(編著),藤岡聡子,横山太郎,他:社会的処方—孤立という病を地域のつながりで治す方法.学芸出版社,2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?