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特集 地域包括ケア時代における病院の在宅への関わり方 大学病院と協働する在宅支援のあり方
大学とともに歩む医療人育成の道—地域医療の現場から
著者: 石橋豊1
所属機関: 1社会医療法人仁寿会 仁寿診療所ながひさ メディカルスタッフ スキルアップセンター
ページ範囲:P.614 - P.618
文献購入ページに移動筆者は,島根大学医学部で総合医育成に携わった後,2年前の2019年から島根県の中山間地川本町にある社会医療法人仁寿会で在宅診療を行いながらメディカルスタッフの生涯学習のお手伝いをしている.在宅診療医としては,経験は浅いが大学に長くいたからこそ見えてくる大学の思いと地域医療現場の思いとのギャップもあるようである.本稿では,人材育成に視点を当てて地域での教育のあり方について論じたい.
在宅診療に直接携わるようになって最も強くに感じることは,「地域医療の現場は,医療の実践の場であると同時に医療人育成の場であるべき」ということである.平成28年度改訂版『医学教育モデル・コア・カリキュラム』1)には,地域医療教育の充実には,地域の現場においても指導医,他職種の教育体制,患者の理解などに大学病院と同様の水準が必要であると記載されている.大学では,このカリキュラムに沿って低学年からの積極的な地域医療実習を進めているが,受け入れる側として積極的に準備を行っている地域の医療機関がある.筆者が勤務する社会医療法人仁寿会の仔細は,本誌2020年8月号に産業医科大学松田晋哉先生が寄稿されている2)ので割愛するが,仁寿会のスタッフの人数の変遷を見ると(図1),全ての業種において右肩上がりに増えている.比率としては,医師の割合は小さいが,その数は年々増加し平成15(2003)年以降で3倍に増えている.なぜこのような変化をもたらしているか,大学のあゆみに常に歩調を合わせながら仁寿会自らも変革を続けている姿が見えてくる.
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