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特集 次世代の病院経営者をどう育てるか 病院を承継するために
病院事業の承継
著者: 赤羽根信廣1
所属機関: 1株式会社川原経営総合センター 開発部
ページ範囲:P.789 - P.794
文献購入ページに移動予期せぬ昨今のコロナ禍により,多くの医療従事者の方々の肉体的・精神的負担が増大し,今も真摯にその対応に邁進してこられていることについて,心からの感謝を申し上げたい.わが国の医療提供体制はいかに民間の医療機関に依存しているかということが,あらためて浮き彫りになったように思う.
民間医療機関は,遅かれ早かれ必ず事業承継の問題に直面する.医療機関経営者は年々高齢化が進んでいるが(図1),承継というテーマはいつ顕在化するか分からないことの認識は必ずしも十分とは言えない.60歳前後でリタイアする医師もいれば,80歳を超えても元気に診療している医師も少なくない.いくつでリタイアするか,という問題は医師個々人の人生観によるものなので正解がないのは当然だが,日常の診療などの忙しさに紛れて,つい後回しにしがちなテーマであるようだ.
しかし,医療機関は院長個人のものではない.働くスタッフはもちろんのこと,通って来る患者,取引先事業者に加え,「ここに医療機関があり,いざとなったらかかれるという安心感の下に暮らしている地域住民」にまで影響のある,社会的存在としての重要性を考慮する必要がある.院長もヒトである以上,まさかの時に自院をどうするかについては,あらかじめ想定しておく必要がある.それは,たとえ都市部の競合が多い地域であっても同様である.
本稿では,主に病院の承継について考えたい.
承継を考えると言っても,まずは何から考えればよいかについても分からないことと思う.そこで,考察を進める上での最初のアプローチをイメージ図にしたので,参考にされたい(図2).
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