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連載 感染症新時代—病院はどう生き抜くか・12【最終回】
分断を乗り越えて—新型コロナウイルスがもたらしたもの
著者: 堀成美1
所属機関: 1国立国際医療研究センター国際診療部
ページ範囲:P.826 - P.828
文献購入ページに移動本誌2020年10月から連載してきた「感染症新時代 病院はどう生き抜くか」を終えるに当たり,今回は2020年1月からの新型コロナウイルス感染症対策の総括をする.
感染症との闘いにおける最強の武器であるワクチンを手にした私たちは,医療機関でのクラスタの減少,先行接種を行った高齢者での症例数の減少を今年6月の時点ですでに見ている.思い返してみると,2020年の春はPCR検査ができない,PPE(個人用防護具)が足りない,病床が逼迫している,医療者やその家族が差別に苦しんでいるといった話題が続いていた.本稿執筆時点の2021年7月半ばは,住民接種や職域接種のワクチンが足りない,地域格差が問題だ,といった報道が中心となっている.一方で,医療においては日常が徐々に戻ってきており,地域での新型コロナ症例数が落ち着けば外来や病棟は感染対応から通常に戻しているし,各領域のメーリングリストの話題もコロナ一色ではなく以前のような多様さをみている.フェーズはどんどん変わり,ターニングポイントを迎えている.
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