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雑誌目次

雑誌文献

病院81巻1号

2022年01月発行

雑誌目次

特集 COVID-19パンデミックから地域医療構想を再考する 地域医療構想の制度的枠組み

新型コロナウイルス感染症流行後の地域医療構想・医療計画

著者: 鷲見学

ページ範囲:P.16 - P.20

 本原稿を準備する2021年11月初旬現在,新型コロナウイルス感染症の発生は落ち着き,緊急事態宣言も解除となったところであるが,厚生労働省としては,都道府県等に対して地域における保健・医療提供体制の確保に向けた対応を依頼するなど,次の感染拡大に向けた備えを進めているところである.こうした取組の概要とともに,新型コロナウイルス感染症対応を踏まえた今後の地域医療構想・医療計画の現時点での考え方について紹介したい.

厚生労働省研究班の立場から考える今後の地域医療構想と医療計画の展開

著者: 今村知明

ページ範囲:P.21 - P.25

■はじめに
 われわれはかねてより,厚生労働科学研究費を受けて「地域の実情に応じた医療提供体制の構築を推進するための政策研究」(通称:地域医療体制班.以下,研究班)を実施している.研究班の目的はずばり,医療計画や地域医療構想1)などの円滑な推進のために必要な調査やデータ分析であり,その成果として医療指標の作成などを行っている.例えば,現在の第7次医療計画の5疾病5事業+在宅では,大半の指標を研究班として作成している.これらの指標の多くは,ナショナルデータベース(レセプトのデータベース.以下,NDB)から作成している.まずは指標開発に必要となるデータ分析に取り組み,出てきた「数字」が独り歩きしないように計算式を含む作成方法の提示を行った上で,指標となる「数字」を出している.第7次医療計画や中間見直しで作成された指標は,われわれのホームページ上で公開している
 実際に各都道府県において医療計画や指標作成をするには参考元になるデータや「数字」が必要になるため,研究班の成果を踏まえて作成された「数字」が厚生労働省(厚労省)からデータブックとして各都道府県に配布されている.このように,われわれは政策に直結する「数字」を作っているため,厚労省から出された政策に「数字」が用いられることで,多くの人から怒られることを生業にしている.まあそれは仕方ないとして,この研究班で最も意味あることは,恐らく日本で初めて出される「数字」を最初に見ることに尽きるだろう.変化も最初に見ることになるので,これから日本でどのようなことが起きようとしているかを誰よりも早く知ることができる.
 そこで,本稿ではわれわれが今持ち合わせている知見を基に地域医療構想とポストコロナ医療の行方がどうなるか,今までの経緯を確認しながら現状と課題について説明する.

データから考える地域医療構想の課題

著者: 松田晋哉

ページ範囲:P.26 - P.31

■COVID-19の流行が明らかにしたわが国の医療提供体制の問題点
 今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行は,わが国の医療体制の問題点を明らかにした.高度急性期・急性期を標榜する病院の多くが,例えば二次救急を担う施設,救急告示病院であるにもかかわらず,COVID-19患者を受け入れることができないという状況が生じてしまった.そして,メディアではCOVID-19患者を受け入れることができる病床が不足する一方で,一般病床にかなりの空床が生じていることが批判された.
 COVID-19の受け入れは,通常の救急よりも多くの人的資源,物的資源を必要とするため,諸外国に比較して病床当たりの人的資源が少ないわが国で,一般診療を行いながらCOVID-19対応を行うことは,確かに困難であったといえる.この結果は高度急性期・急性期については集約化・大規模化を行い,こうした施設における人的資源の配分を厚くすることの必要性をあらためて示したものといえる.

地域医療の現場から考える地域医療構想

高度急性期・急性期を担う公立病院からみた地域医療構想の今後の在り方

著者: 伏見清秀

ページ範囲:P.32 - P.36

■はじめに
 新型コロナ感染症蔓延時には,重症患者が入院加療を受けられず自宅で死亡するなど,わが国の医療提供体制の重大な欠陥が露呈した.パンデミックの影響は医療を含め,飲食業,旅行業,サプライチェーンなど多岐に及び,特にわが国では,進行する人口減少社会の弱点を突かれたと言える部分も多い.地域医療構想は人口構造の急激な変化に対応する医療提供体制の整備を目指すものであるが,新型コロナ感染症がもたらした重症医療の逼迫の裏側での,外来を含む平時医療の急激な需要減少は,将来の変化を先取りしたものとも言える.その意味で,このパンデミックに際しては,一部で言われる地域医療構想の抜本的な見直しではなく,そのさらなる推進が正しい対応と考えられる.

高度急性期・急性期を担う民間病院からみた地域医療構想の今後の在り方

著者: 太田圭洋

ページ範囲:P.37 - P.40

■はじめに
 地域医療構想が始まりかなりの時間が経過した.詳細な地域医療構想の内容に関しては別稿に譲るが,この間,多くの関係者が各地で調整会議に関わり地域ごとの医療提供体制を議論してきた.しかし,地域医療構想が全国で順調に進んでいるとは言えない状況である.コロナ禍による議論の中断の影響もあったが,当初の目標であった2025年はもう目の前に来ているにもかかわらず,未来の地域の医療提供体制が整った地域は多くはない.特に,地方部と違い都市部での議論の進捗は遅々として進んでいない構想区域が多いと思われる.
 本稿では,都市部で急性期機能を担う民間病院の経営者として地域医療構想に関与してきた立場で,現在の地域医療構想の問題点と今後に関して述べたい.

回復期・慢性期からみた地域医療構想の今後の在り方

著者: 鈴木龍太

ページ範囲:P.41 - P.46

■はじめに:慢性期医療とは
 日本慢性期医療協会は「慢性期医療のサービス体系は,地域包括ケア病棟,回復期リハビリテーション病棟,療養病棟などの病棟と,介護医療院,老健,特養などの介護保険施設,通所系・訪問系の在宅医療サービスまで幅広い分野にわたります」と定義し,「良質な慢性期医療がなければ日本の医療は成り立たない」との覚悟で慢性期医療の発展に取り組んでいる.
 これを踏まえ,本稿では,急性期治療後の回復期,慢性期,在宅全てを含んだ概念で,慢性期からみたCOVID-19前後の地域医療構想について論じる.

介護老人保健施設からみた地域医療構想の今後の在り方

著者: 折茂賢一郎

ページ範囲:P.47 - P.51

■はじめに
 COVID-19(以後,新型コロナ感染症)の拡大(以後,コロナ禍)は全世界を巻き込み,政治や経済をはじめ国民の生活様式さえ変貌させた.例えば,介護老人保健施設(以後,老健)のターミナル・ケアも然りであり,ACP(Advance Care Planning)の概念をも変えざるを得ないものになっている.
 以前は,施設内での大往生を希望すれば,ターミナル・ケアを提供している施設では最後まで安らかな入所生活を送ることができていた.しかし,今回のコロナ禍はそれを一変させたのだ.いかに入所者本人や家族が継続した入所を希望しようとしても,新型コロナ感染症に罹患してしまうと入院治療を余儀なくされてしまうことになった.これは,老健施設内での感染症防止対策が徹底できていなかったせいもあるが,老健施設は利用者の自立支援や尊厳保持のために「抑制」は厳禁であることはもちろん,闊達な交流やリハビリテーション(リハビリ),レクリエーションの提供などが求められていることから,いったん施設内で新型コロナ感染症に罹患者が出てしまうと施設内に蔓延しかねずリスクが極端に高くなるからだ.ましてや,認知症専門棟内で新型コロナ感染症が発生してしまうと,感染拡大防止は至難の業になる.
 さらに,老健は医療提供施設には定義されているものの,日常的な医療提供が求められているだけであり,新型コロナ感染症治療のような非日常的な医療提供は想定外であった.厚生労働省からも通達が出ているように,老健施設内で新型コロナ感染陽性者が出た場合には原則入院となっているため,ターミナル・ケアを最後までその施設でと望んでいても,病院への転院が余儀なくされるのだ.ただし,今回の第5波のように医療の病床が逼迫するほどの感染拡大になると,入院できない入所者も出てくるので,今後は老健施設内でどのように軽症の感染者をケア・治療するのかなどの模索が必要になってくる.また,ACPを行う際にも,万が一新型コロナ感染陽性になった場合には専門病院などへの転院について説明と理解と同意が必要になってくるのは自明のことだ.丁寧な説明はもとより,病院への転院の際には,本人家族の終末期に対する意向をしっかりと伝える努力も重要になる.
 本稿では,こうしたコロナ禍での経験を踏まえ,今後の地域医療構想の在り方を老健の立場から論じたい.

看護からみた地域医療構想の今後の在り方—地域における看護職確保・感染管理体制に焦点を合わせて

著者: 吉川久美子

ページ範囲:P.52 - P.55

■はじめに
 少子超高齢社会の人口・疾病構造を見据えた社会保障制度改革として,医療計画に基づき地域医療構想を策定し,病院機能を高度急性期・急性期・回復期・慢性期に分け,地域の実情に合わせ,医療機能ごとの医療需要と必要病床数の推計・決定が進められている.
 そのような中,2020年初頭より発生した,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延・拡大では,医療機関の病床は逼迫し,入院治療ができず,臨時の医療施設やホテル等の宿泊療養施設,入院待機施設が設置され,病院以外の施設においても,治療・療養が行われた.
 日本の病床数は人口1,000人当たり13.0床(米国は2.5床)1)と世界で最も多いにもかかわらず,COVID-19患者の入院治療ができないのはなぜかと問われた.その理由の一つとしては,重症・中等症・軽症と患者の状態別に受け入れ可能な医療機関および受け入れ可能病床数が明確化されず,患者数増加に対して都道府県から受け入れ病床が割り当てられ,その都度の対応が余儀なくされてきたためと考える.
 一方,COVID-19の蔓延は,看護職確保などにおいて潜在化していたさまざまな課題や問題を浮き彫りにし,平時からの医療・看護提供体制の在り方について再考の必要性を明確にした.
 このような状況の中,2021(令和3)年10月1日に厚生労働省から「今夏の感染拡大を踏まえた今後の新型コロナウイルス感染症に対応する保健・医療提供体制の整備について」2)の事務連絡が発出され,都道府県において新たに「保健・医療提供体制確保計画」を充実させ,今後の保健・医療提供体制が目指す姿として,推計需要に対応可能な体制とその担い手を確保すると記載されている.
 これらのことを踏まえ,看護から見た今後の地域医療構想の在り方について述べる.

沖縄県における新型コロナウイルスの流行と地域医療構想

著者: 髙山義浩

ページ範囲:P.56 - P.61

■はじめに:医療提供体制の課題
 現在,わが国は急速な高齢化のなかにあり,いわゆる団塊の世代が75歳を超える2025年には,後期高齢者が2180万人となる.2020〜2030年の10年間では,全国で75歳以上人口が1.22倍となると見込まれている.筆者が臨床に従事する沖縄県は,1.36倍と全国で最も急速な高齢化を経験する(図1)1)
 一方,それを支えるべき医療供給にも課題が多い.わが国は,他の先進国と比較して人口当たりの病床数は多いが,リハビリテーションや療養型の病床が多く,急性疾患を受け入れる病床が占める割合は高くないことが特徴である.さらに,平均在院日数が極端に長く,病床数のわりに入院している患者数は限られており,効率よく医療が提供できているとは言えない.沖縄県は,一般病院の病床利用率は全国で最も高く,慢性的な病床不足を来している(表1)2〜4)
 また,わが国では,他の先進国と比較して人口当たりの医師数が少ないことから,医師1人当たりの病床数が極端に多くなり,いかに勤務医が過密な業務を担っているかが分かる.健康不安を覚えながら診療に追われている者も少なくなく,地域偏在の解消とともに医師の働き方改革が求められている.
 こうした課題を解決するため,2014年に医療介護総合確保推進法が成立し,地域ごとに必要な医療機能が確保できるよう病床機能の分化と連携を進める「地域医療構想」が制度化された.こうして,超高齢社会にも耐えうる医療提供体制の構築に向けて,地域ごとに関係者による協議が始められていた.

地域医療の現場からみた新型コロナウイルス感染症対応と地域医療構想の今後の在り方

著者: 一宮仁

ページ範囲:P.62 - P.66

■はじめに
 地域医療構想は,将来の人口動態,疾病構造の変化に基づいた医療需要を推計して,病床機能の分化と連携を推進することで地域における適正な医療提供体制を構築することを目的として策定され,医師の働き方改革,医師の偏在対策とともに進められている.
 今回の新型コロナウイルス感染症(以下,コロナ感染症)のパンデミックでは,医療は逼迫し崩壊の危機に曝され,わが国の機能不全に陥りやすい医療制度や医療提供体制の問題が浮き彫りになった.そこで医療計画と地域医療構想の見直しが必要と考えられ,2021(令和3)年5月に「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」が公布された.
 この改正医療法では,医師の働き方改革の実現に向けた取り組みと新興感染症への対応などを具体的に検討することが示され,第8次医療計画では「新興感染症等の感染拡大時における医療」が「5事業」に追加され「6事業」となった.地域医療構想についても,「新型コロナウイルス感染症の対応が続いているものの,構想の背景となる中長期的な状況に変わりないため,基本的な枠組みを維持して確実に進める方針」で,新興感染症の対応も踏まえた医療提供体制の構築を目指して推進することが示された1)
 医療提供体制の構築には,診療するための施設(病床や診療所など),そこで働く人材(医師・看護師などの医療従事者)と役割分担・連携,そこで使用する機器・物資(医療資材),安全性と効率性を備えた円滑な運営のためのソフトやツール(患者情報共有システム,診療ツールなど),資金(財政支援),それらを総合的に機能させるマネジメントシステム,そしてマインドが必要である.これらがうまく連動しなければ医療機関も地域医療も機能不全に陥り,医療崩壊の危機に曝されてしまう.
 本稿では,今回のコロナ感染症にかかる福岡県,福岡県医師会そして医療機関の課題や対応を検証して,今後の地域医療構想実現に向けた取り組みに反映いただければと思う.

対談

これからの地域医療構想の在り方

著者: 本田麻由美 ,   松田晋哉

ページ範囲:P.1 - P.6

新型コロナウイルス感染症は医療提供体制の問題点を炙り出した.
それらを踏まえて非常時の医療提供体制をどう構築していくのか.
また平時から医療機関はどう役割分担してどう連携していくのか.
これからの地域医療構想の在り方を探る.

特別記事

臨床検査技師へのタスク・シフト/シェアを推進するための法令改正—臨床検査技師へ託された業務

著者: 宮島喜文 ,   丸田秀夫

ページ範囲:P.67 - P.71

■タスク・シフト/シェアに至った経緯と展開
 厚生労働省(厚労省)においては,医療の急速な進展に伴い,それぞれ高い専門性をもつ医療従事者が協働し,患者中心の医療を実践するチーム医療を推進しており「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」(平成19年12月28日付医政発第1228001号/医政局長通知)で良質な医療を継続的に提供していくため,医療機関の実情に応じて,関係職種間で適切に役割分担を図り,効率的な業務運営を行うことが重要として,医師でなくても対応可能な業務等について整理した.また,「チーム医療推進に関する検討会」の報告(平成22年3月19日)を踏まえ,「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進」(平成22年4月30日付医政発0430第1号/医政局長通知),その後,「チーム医療推進会議」などで検討が進められ,2014(平成26)年6月18日「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」が可決成立した.その中では,検体採取などに関する臨床検査技師の業務拡大が認められた.
 一方,2016(平成28)年10月からは「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」を設け,望ましい医療従事者の新しい働き方などについて検討を進め,これまでのチーム医療を発展させる形で有効活用をとの観点から具体的なアクションプランの一つにタスク・シフティング/タスク・シェアリングの推進が挙げられた.2017(平成29)年8月から「医師の働き方改革に関する検討会」が始まり,22回にわたる議論を経て,2018(平成30)年3月28日に検討会報告書1)がとりまとめられた.その報告書では医師の働き方改革を進める中で,さらなるタスク・シフティング(業務の移管)の推進は重要であり,制度的対応も含め検討していくべきであると指摘され,厚労省は関係する30の医療関連団体等を対象に「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフティングに関するヒアリング」を実施した.このヒアリングには日本臨床衛生検査技師会も参加し,会員施設実態調査の結果などを基本にタスク・シフト/シェアにつながる業務として43業務を提案した.

連載 アーキテクチャー×マネジメント・84

新型コロナウイルス感染症対応の仮設病院—大阪コロナ重症センター,埼玉県済生会栗橋病院仮設病棟,野崎徳洲会コロナ重症センター

著者: 河崎邦生

ページ範囲:P.8 - P.13

■はじめに
 新型コロナウイルス感染症に対応するための「仮設病院」の企画を2020年4月に立案し,広く公開した(図1).その後感染拡大に伴い「大阪コロナ重症センター」「埼玉県済生会栗橋病院仮設病棟」「野崎徳洲会コロナ重症センター」を計画し,実現するに至ったが,その過程の中でさまざまな知見が得られた.さらに次なる感染症を見据え,「ネクスト・コロナの新しい設計様式」を取り入れた,病院建築の最新の手法を紹介する.

これからの病院経営の考え方・8

コロナ禍で考える紹介率と逆紹介率—外来機能報告制度に関連して

著者: 小松本悟

ページ範囲:P.74 - P.79

 コロナ禍による外来受診控えなどにより,地域の医療機関では紹介患者数が激減している.さらに,医療機関は新型コロナウイルス感染患者受け入れによる診療で疲弊してきている.また,医療機関が診るべきコロナ感染以外の患者が,医療機関受診の機会損失に遭遇している.
 コロナ禍だからこそ,患者の外来受診控えに対して,医療機関は病診連携をさらに強固にし,コロナ感染以外の患者も安心して受診できる院内体制の構築を図っていることをアピールすべきである.そして紹介患者,新規患者獲得のための戦略を策定しなければならない.また,コロナ感染がいつまで続くか不透明であり,コロナ後を迎えたとしても,患者の受診様態は元に戻ることはないと思われる.われわれがこれまで進めてきた地域医療構想の策定,地域における医療機関の間における診療の相互協力,診療科の再編・統合を,今こそ加速させるべきではないだろうか.

医療機関で起きる法的トラブルへの対処法・9

奨学金や研修費用などの貸与・返還請求時の注意点

著者: 長谷川葵

ページ範囲:P.80 - P.84

■1 職員に対する貸与・立替の注意点
 病院の中には,看護学校と提携し,看護学校卒業後当該病院に就職することを希望する学生に対し,看護学校の授業料などを援助する制度を設けている場合があります.
 病院にとっては,自らの病院に勤務する看護師の確保などが目的と考えられますので,看護学校の授業料などを援助した看護師が早期に退職した場合には,授業料を援助して看護師資格を取得させたことが無意味となってしまいます.そのため,制度上,「看護師資格取得後,病院に数年勤務すれば授業料などの返還を免除する」という条件を設けている病院もあります.

事例と財務から読み解く 地域に根差した中小病院の経営・31

特定医療法人丸山会 丸子中央病院—「地域のしあわせ創り」を理念に地域へ貢献し続ける病院

著者: 内記恵和

ページ範囲:P.85 - P.89

 特定医療法人丸山会が運営する丸子中央病院(以下,同院)は,長野県東部の上田市に位置し,2006(平成18)年の新設合併以前の旧丸子町の時代から地域医療を担ってきた.
 上田市は,人口154,816人(2021年10月1日現在)で,JR北陸新幹線を利用すれば東京から最短で約80分の距離にあり首都圏からのアクセスは良い反面,他地域への人口流出などにより人口減少が続いている地域でもある.

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目次

ページ範囲:P.14 - P.15

Book Review 日本近現代医学人名事典別冊【1868-2019】増補

著者: 冨岡洋海

ページ範囲:P.91 - P.91

Back Number

ページ範囲:P.93 - P.93

次号予告

ページ範囲:P.96 - P.96

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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