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特集 COVID-19パンデミックから地域医療構想を再考する 地域医療構想の制度的枠組み
厚生労働省研究班の立場から考える今後の地域医療構想と医療計画の展開
著者: 今村知明1
所属機関: 1奈良県立医科大学公衆衛生学講座
ページ範囲:P.21 - P.25
文献購入ページに移動われわれはかねてより,厚生労働科学研究費を受けて「地域の実情に応じた医療提供体制の構築を推進するための政策研究」(通称:地域医療体制班.以下,研究班)を実施している.研究班の目的はずばり,医療計画や地域医療構想1)などの円滑な推進のために必要な調査やデータ分析であり,その成果として医療指標の作成などを行っている.例えば,現在の第7次医療計画の5疾病5事業+在宅では,大半の指標を研究班として作成している.これらの指標の多くは,ナショナルデータベース(レセプトのデータベース.以下,NDB)から作成している.まずは指標開発に必要となるデータ分析に取り組み,出てきた「数字」が独り歩きしないように計算式を含む作成方法の提示を行った上で,指標となる「数字」を出している.第7次医療計画や中間見直しで作成された指標は,われわれのホームページ上で公開している注.
実際に各都道府県において医療計画や指標作成をするには参考元になるデータや「数字」が必要になるため,研究班の成果を踏まえて作成された「数字」が厚生労働省(厚労省)からデータブックとして各都道府県に配布されている.このように,われわれは政策に直結する「数字」を作っているため,厚労省から出された政策に「数字」が用いられることで,多くの人から怒られることを生業にしている.まあそれは仕方ないとして,この研究班で最も意味あることは,恐らく日本で初めて出される「数字」を最初に見ることに尽きるだろう.変化も最初に見ることになるので,これから日本でどのようなことが起きようとしているかを誰よりも早く知ることができる.
そこで,本稿ではわれわれが今持ち合わせている知見を基に地域医療構想とポストコロナ医療の行方がどうなるか,今までの経緯を確認しながら現状と課題について説明する.
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