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特集 心理的安全性がつくる新しい病院組織—イノベーションとリスクマネジメントの両輪を回す 心理的安全性の構築と病院組織変革のための手法
心理的安全性が可能にするチャレンジする組織づくり—他産業の事例から学ぶ
著者: 川上憲人1
所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科デジタルメンタルヘルス講座
ページ範囲:P.862 - P.865
文献購入ページに移動産業保健の領域では,2000年代の半ばから労働者のポジティブメンタルヘルス(あるいは精神的ウェルビーイングとも呼ばれる)が重要視されるようになってきた1).職場のポジティブメンタルヘルスは,労働者が自分の仕事に意義を感じ,一所懸命に取り組み,そこから達成感を覚える前向きな感情のことであり,労働者の幸福にもつながるとともに,生産性にも直結する状態として,経営者にとっても注目されるようになった.今日,少子高齢化の進展による深刻な人手不足の時代が到来しつつあり,より多くの人材を獲得し,より高い生産性を上げてもらい,優秀な人材を自社にとどめるために,多くの企業が労働者のポジティブメンタルヘルスを向上させる施策を実施している.
職場の心理的安全性は,労働者が立場やキャリアや人間関係を心配せずに,質問したり,発言したりすることができる職場の雰囲気や環境のことであり,労働者のポジティブメンタルヘルスのための基盤ともいえる.職場の心理的安全性は,職場の一体感や信頼関係とも強く関連している.本稿では,他産業におけるポジティブメンタルヘルスの職場づくりの活動の事例を通じて,心理的安全性を通じたいきいきした職場づくりの進め方について学ぶ.また医療機関における職場の心理的安全性向上の事例を紹介する.
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