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特集 心理的安全性がつくる新しい病院組織—イノベーションとリスクマネジメントの両輪を回す 心理的安全性の構築と病院組織変革のための手法
コーチングで変革できる病院組織—働き方改革の成功を左右する心理的安全性
著者: 佐藤文彦1
所属機関: 1Basical Health株式会社
ページ範囲:P.879 - P.882
文献購入ページに移動病院長や診療部長といったベテラン医師の中には,自身の経験から,自己成長のためにはある程度の長時間労働が必要だと考える人も少なくない.しかし一方で,長時間労働を強いることで勤務する医師に万が一のことが生じた場合,安全配慮義務違反を問われる可能性があるのは上司である自分たちだという認識も持っておくことは,「医師の働き方改革」を理解する上で,非常に大切なポイントと言える.これらを総合的に勘案した上で,病院全体や各診療科において「医師の働き方改革」を進めていこうという過程のなかで,スタッフ全員に本気で残業削減やタスクシフトについて考えてもらうために,重要なカギとなってくるのが「心理的安全性」であると言える.これを,あらゆる立場の医療スタッフたちに,日頃から実感してもらっていない限りは,現実として抜本的な改革を行うことは不可能であろう.
しかしながら他方で,病院経営者が覚悟を決めて「医師の働き方改革」を積極的に推し進めていくために,全ての医療スタッフに対し,コーチングなどのコミュニケーションスキルを積極的に活用し,「心理的安全性」を日頃から実感してもらうことができれば,どんな業態や規模・地域の病院であっても,飛躍的に病院組織を明るい方向に変化させる可能性が十分に考えられる.
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