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文献詳細

雑誌文献

病院81巻12号

2022年12月発行

文献概要

特集 検証 2022年度診療報酬改定 総論

医療経済・政策学の視点から2022年度診療報酬改定の問題点を考える

著者: 二木立1

所属機関: 1日本福祉大学

ページ範囲:P.1042 - P.1047

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■はじめに
 2022年度診療報酬改定(以下,今改定)は,大方の予想に反して相当大幅なものとなりました.改定の解説や対応策については多くの医療(経営)雑誌やセミナーでなされています.
 本稿はそれらとの重複を避け,医療経済・政策学の視点から,今改定で私が特に問題だと思う以下の5点に絞って述べます.それらは,①実質ゼロ改定,②「手続き民主主義」からの逸脱,③医療の「余裕」が目指されていない,④2つのコストシフティング,⑤地域包括ケア病棟改定は「ハシゴ外し」.私は,今後の医療政策,特に2年後の診療報酬改定を考える上では,②の「手続き民主主義」からの逸脱が一番重大だと判断しています.

参考文献

1)財務省・一松主計官インタビュー.MEDIFAXweb.2022年5月25日
2)二木立:医療改革 危機から希望へ.勁草書房,2007,pp128-144(療養病床の再編・削減—手続民主主義と医療公立の視点から)
3)江見康一:医療費をどう捉えるか.福武直,佐分利輝彦(監修),江見康一(編):明日の医療 4 医療と経済.中央法規,1984,pp2-15
4)尾形裕也:この国の医療のかたち(93) 2022年を迎えて,診療報酬改定,外来機能報告等.MEDIFAX web,2022年1月19日
5)河野太郎:日本を前に進める.PHP,2021,p131
pp21-22
7)二木立:地域包括ケアと地域医療連携.勁草書房,2015,pp64-77(7対1病床大幅削減方針の実現可能性と妥当性を考える)
8)迫井正深:平成28年度診療報酬改定が目指したもの.病院 75:937-943,2016
9)三橋尚志:回復期リハビリテーション病棟の目指すべき方向性.回復期リハビリテーション21:24-27,2022
10)一戸和成:不妊治療の保険適用について.健康保険75(9):6-15,2021
11)鈴木学:事例報告 2022年度診療報酬改定への対応 中小民間病院の立場から—地域包括ケア病棟に焦点を当てて.保険診療77(6):19-22,2022
12)田中滋(編):ヘルスケアをめぐる産業政策—医療と医薬品産業を考える専門家会議.薬事日報社,1989,p129
13)二木立:地域包括ケアと医療・ソーシャルワーク.勁草書房,2019,p95
14)二木立:TPPと医療の産業化.勁草書房, 2012, pp91-99(日本の民間病院の「営利性」と活力)
15)池端幸彦:令和4年度診療報酬改定の概要とその対策.全国自治体病院協議会雑誌61(5):35-43,2022
16)二木立:医療改革と財源政策.勁草書房,2009,pp32-47(公的医療費増加の財源選択と私の判断)
17)武田俊彦,神野正博:(対談)これからの病院の外来機能をどう考えるか.病院 81:467-472,2022

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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