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文献詳細

雑誌文献

病院81巻12号

2022年12月発行

文献概要

特集 検証 2022年度診療報酬改定 病院種別の改訂影響と評価

回復期医療に及ぼした影響と評価—地域包括ケア病棟

著者: 仲井培雄12

所属機関: 1一般社団法人地域包括ケア病棟協会 2医療法人社団和楽仁 芳珠記念病院

ページ範囲:P.1072 - P.1077

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■地域包括ケア病棟の役割の変化
 地域包括ケア時代の患者像は,高齢で複数疾患を有し,ADLと栄養状態・認知機能が低下し,ポリファーマシーになりやすい.入院前から継続して入院中も包括的な生活支援を必要とする患者が多くなる.リハビリテーション(以下,リハ)は,社会復帰を目指す脳卒中モデルよりも,生活復帰を目指す廃用症候群・認知症モデルが主となる.QOLとQODの価値観は人それぞれ異なる上,介入のエビデンスは乏しいためアドバンス・ケア・プランニングや多職種カンファレンスは必須となる.このような患者像は虚弱“multimorbidity患者”とよく重なる.multimorbidity(多疾患併存)1)の定義は「複数の慢性疾患が併存しており中心となる疾患を特定できない状態」とされる.
 地域包括ケア病棟(以下,地ケア病棟)は2014年度診療報酬改定で創設された.急性期後の患者の受け入れ(ポストアキュート;PA)と在宅療養中の患者等の緊急や予定の受け入れ(いわゆるサブアキュート;SA),在宅復帰支援の3つの機能を有し,地域包括ケアシステムを支えている.しかし,コロナ禍での地域ニーズや医療制度改革が地ケア病棟の立ち位置を揺るがしている.第一にこれまで在宅から直接入院していた患者のうち,在宅や介護施設で診療を継続できる患者,高度急性期病院の進化する医療に期待する患者が増えることで,いわゆるSAが減少する兆しがある.第二に急性期後の患者にとって,初発の脳卒中は回復期リハビリテーション病棟への転棟が王道であり,心不全や誤嚥性肺炎は直接在宅に退院する.自院一般病床からの地ケア病棟への転棟割合の制限も拡大するため,PA減少の兆しがある.そして2022年度はこれらの兆しを捉えた診療報酬改定2)が行われた.

参考文献

1)髙橋亮太,岡田唯男,上松東宏:プライマリケアにおけるmultimorbidityの現状と課題.日本プライマリ・ケア連合学会誌 42:213-219,2019
2)厚生労働省保険局医療課:令和4年度診療報酬改定説明資料 令和4年度診療報酬改定の概要(全体版),2022年3月4日 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000960258.pdf
3)一般社団法人地域包括ケア病棟協会:2022年度地域包括ケア病棟の機能等に関する調査(R4調査).2022年7月23日 https://chiiki-hp.jp/wp-content/uploads/2022/09/220920-概要版-R4地ケア病棟協会アンケート調査.pdf
4)一般社団法人地域包括ケア病棟協会:地域包括ケア病棟の診療報酬等に係る提言.2022年9月20日 https://chiiki-hp.jp/wp-content/uploads/2022/09/220920-■R4提言-地ケア病棟協会.pdf
5)中央社会保険医療協議会:中央社会保険医療協議会総会(第504回) 資料.入院(その7).2021年12月10日 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000864874.pdf

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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