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特集 すぐそこまで来た,医師の働き方改革—課題と実現可能性 各病院はどのように対応するか
へき地医療と医師の働き方改革—へき地の医療を守ることはできるか
著者: 須藤泰史1
所属機関: 1つるぎ町病院(つるぎ町立半田病院)
ページ範囲:P.146 - P.150
文献購入ページに移動徳島県は,人口10万人当たりの医師数が全国1位であると報じられることが多い県としてご存じの方もいらっしゃることであろう.事実,厚生労働省の第28回医師需給分科会(2019年2月18日)の資料でも,三次医療圏(都道府県)の「医師偏在指標」(暫定版)において,全国第8位(指標265.9)に入る医師の多い県と報告されている(図1)1).しかし,当院の存在する西部医療圏は,この二次医療圏の「医師偏在指標」において下位1/3(33.3%)に入り(244位/指標139.0)(表1),医師派遣が十分に行われていないエリアである.さらに,将来の医療需要の低迷が予想されることなどから,近年は開業医も跡継ぎが戻ることがなく,閉院が続いているような地域である(図2,3).
また,小児科・産婦人科においても「医師偏在指標」では,徳島県は全国で高位の供給体制となっているが(図4)2),当院のある西部医療圏では,小児医療体制は,当院の常勤医師1人と非常勤医師1人,開業医の2人,そして県立病院の非常勤医師1人と徳島大学からの小児輪番日の支援パート医師という体制であり,産婦人科に関しては,当院が西部医療圏唯一の分娩施設であり,4人の常勤医師と徳島大学からの産直医師の派遣で支えている状況である.つまり,全国上位という順位は,決して十分な数ではない現実とのギャップがある.
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