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特集 これからの地域共生社会と病院経営の未来 地域をつくる病院経営の実際
寺岡記念病院の「ローカルコモンズ」—7年の歩みと今後の展開
著者: 寺岡暉12
所属機関: 1社会医療法人 社団 陽正会 2社会福祉法人 新市福祉会
ページ範囲:P.216 - P.220
文献購入ページに移動広島県の福山・府中2次保健医療圏福山市北部の新市町(人口:新市町19,295人,福山市:463,713人.2021年11月)にある263床の寺岡記念病院を経営する社会医療法人社団陽正会と,同じ町で高齢者総合福祉施設ジョイトピアおおさを経営する社会福祉法人新市福祉会とが,地域包括共生体「ローカルコモンズしんいち」を創設して7年が経過した.寺岡記念病院は,急性期94床,回復期87床,慢性期82床(当時)からなる二次救急指定の,ケアミックス病院である.一方の,ジョイトピアは特別養護老人ホーム,介護老人保健施設ほかの高齢者総合福祉事業を経営しており,福山市からこの地域の「地域包括支援センター」の運営を委託されている.
この7年を通じて,われわれは「地域共生社会」の実現と進化に向かって,また地域医療における「地域医療構想」の実現に取り組んできた.その背景は高齢化社会,さらには超高齢社会である.その高齢化の進展のもとで,今後必要とされる医療は,肺炎,脳血管疾患,心疾患,非感染性疾患,骨折などの日常的な診療の範疇,WHOでいうところの非感染性疾患(NCDs:Non-communicable diseases)である,がん・糖尿病・循環器疾患・呼吸器疾患・メンタルヘルスをはじめとする慢性疾患が主体となると見なされた.われわれは,WHOのKey Factsに掲げられていた「これからの医療の対象は非感染性疾患である」というフレーズに則って,一律に「地域医療構想」に向かっていたのは,やや安易であったかと反省している.これからの社会で必要なことは,多様性に対する認識やその対応であろう.
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