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文献詳細

雑誌文献

病院81巻3号

2022年03月発行

文献概要

特集 これからの地域共生社会と病院経営の未来 地域をつくる病院経営の実際

寺岡記念病院の「ローカルコモンズ」—7年の歩みと今後の展開

著者: 寺岡暉12

所属機関: 1社会医療法人 社団 陽正会 2社会福祉法人 新市福祉会

ページ範囲:P.216 - P.220

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■反省を込めた前書き
 広島県の福山・府中2次保健医療圏福山市北部の新市町(人口:新市町19,295人,福山市:463,713人.2021年11月)にある263床の寺岡記念病院を経営する社会医療法人社団陽正会と,同じ町で高齢者総合福祉施設ジョイトピアおおさを経営する社会福祉法人新市福祉会とが,地域包括共生体「ローカルコモンズしんいち」を創設して7年が経過した.寺岡記念病院は,急性期94床,回復期87床,慢性期82床(当時)からなる二次救急指定の,ケアミックス病院である.一方の,ジョイトピアは特別養護老人ホーム,介護老人保健施設ほかの高齢者総合福祉事業を経営しており,福山市からこの地域の「地域包括支援センター」の運営を委託されている.
 この7年を通じて,われわれは「地域共生社会」の実現と進化に向かって,また地域医療における「地域医療構想」の実現に取り組んできた.その背景は高齢化社会,さらには超高齢社会である.その高齢化の進展のもとで,今後必要とされる医療は,肺炎,脳血管疾患,心疾患,非感染性疾患,骨折などの日常的な診療の範疇,WHOでいうところの非感染性疾患(NCDs:Non-communicable diseases)である,がん・糖尿病・循環器疾患・呼吸器疾患・メンタルヘルスをはじめとする慢性疾患が主体となると見なされた.われわれは,WHOのKey Factsに掲げられていた「これからの医療の対象は非感染性疾患である」というフレーズに則って,一律に「地域医療構想」に向かっていたのは,やや安易であったかと反省している.これからの社会で必要なことは,多様性に対する認識やその対応であろう.

参考文献

1)一般財団法人オレンジクロス:社会的処方白書 2020年度
2)宇沢弘文,茂木愛一郎(編)社会的共通資本—コモンズと都市.東京大学出版会,1994
3)寺岡暉:寺岡記念病院の「コモンズ」の試み—医療・介護・福祉を包括するトータル&シームレスな地域ケアづくり.病院75:514-517,2016
4)社会保障制度改革国民会議報告書.平成25年8月
5)Dennis McCullough:My Mother, Your Mother;Embracing“SLOW MEDICINE”The Compassionate Approach to Caring for Your Aging Loves Ones. Harper Collins, 2008(寺岡暉,寺岡朋子(監訳),三谷武司(訳):スローメディシンのすすめ—年老いていく家族のケアに向き合うあなたへ.勁草書房,2013)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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