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特集 ポストコロナを見据えた公立・公的病院と民間病院の役割分担 総論
公立・公的病院と民間病院の役割分担についてどのように考えるか—厚生労働省初代医務技監の立場から
著者: 鈴木康裕1
所属機関: 1国際医療福祉大学
ページ範囲:P.312 - P.316
文献購入ページに移動わが国における病院の開設主体の現状を見たとき,まず指摘せねばならないのは,同じように公的医療保険を主体として全国民をカバーしている(国民皆保険の)英独仏と比較して,病院数・病床数のいずれをとっても民間病院の比率が圧倒的に高いこと(図1)である(例えば,逆に独は89.7%1),仏は76.3%2)の病床が公立・公的病院に属している).
これは,運営の効率化や診療報酬をはじめとするインセンティブ・シグナルへの鋭敏な反応をもたらす面もあるが,逆に,病院間の統廃合や,今回みられたパンデミック時の緊急対応などに際して,命令一下の対応が取りにくい構造ともなっている.
また,開設主体にかかわらないが,日本の病院の海外のそれと比較した特徴としては,医療従事者の養成数自体は人口比で見ると欧米に比肩しうるが,人口当たりの病床数が相当多いがゆえに,病床当たりの医療従事者数が圧倒的に少ない(図2,3).これは病床当たりの人件費の減少には寄与するが,新型コロナウイルス感染症のように,非常に診療に手がかかり,従事者の頻繁な交代を要するような医療の必要性が高まると,病棟の運営が逼迫しやすい構造となっている.
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