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特集 ポストコロナを見据えた公立・公的病院と民間病院の役割分担 医療提供サイドの視点から
新型コロナの蔓延で自治体・公的病院の果たした役割
著者: 伊関友伸1
所属機関: 1城西大学経営学部マネジメント総合学科
ページ範囲:P.322 - P.326
文献購入ページに移動新型コロナウイルス感染症の蔓延に対して自治体・公的病院はどのような貢献をしたか.今回の新型コロナ感染症の蔓延に対して,国・地方自治体の重要な課題となったのが,いかに病床を確保するかであった.戦後例を見ない規模の新興感染症の蔓延に対して,既存の感染症指定医療機関の病床数は少なく,その機能も不十分な状況にあった.このため,国・地方自治体は新型コロナの患者の受け入れ病床の確保に追われることとなった.
そもそも新型コロナ病床の確保と患者の受け入れは,各病院の判断によるのが原則である.国や都道府県の号令によって医療機関が一斉に動くわけではない.国や都道府県が医療機関に関与できる権限は,新型インフルエザ等対策特別措置法や感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)に基づく要請や指示,勧告など限られている.事態が差し迫っている場合,早急に動く必要があるが,実際に行使するのは簡単ではない.医療機関に対する粘り強い説得が必要となる.
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