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特集 選定療養・評価療養制度のこれから 選定療養・評価療養制度の目的と課題
選定療養・評価療養制度の趣旨
著者: 宇都宮啓1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部
ページ範囲:P.570 - P.574
文献購入ページに移動WHOが推進し,SDGsのターゲットの一つにもなったUniversal Health Coverage(UHC)とは,「全ての人が適切な予防,治療,リハビリ等の保健医療サービスを,支払い可能な費用で受けられる状態」であり,わが国では1961(昭和36)年4月に国民健康保険法が全面的に改正され,全ての国民が加入する公的医療保険が確立1).この国民皆保険達成をもってUHC達成とよく言われるが,もう少し厳密に言えばこれに加えて,自治体や保険者による予防サービス提供や医療供給体制の充実などによる保健医療へのアクセス改善をもってUHCを達成したと言える.
このUHCの定義を見ると,カバーする「人口」「保健医療サービス」「費用」の3つの要素に分けられるが,実は1961(昭和36)年時点では,高価な抗生物質は自由には使えないなどのいわゆる制限診療や,同一疾病の給付期間は3年という期間制限などが行われていて,国民皆保険は「保健医療サービス」および「費用」の面では完全に具備されたとは言えなかった2).そして国民皆保険達成直後から昭和48(1973)年まで,こうした制限診療や給付制限などの撤廃が段階的に行われ制度の充実が図られてきた(図1).
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