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文献詳細

雑誌文献

病院81巻9号

2022年09月発行

文献概要

特集 想定外を想定せよ—病院BCPのバージョンアップ 分野別病院BCP

病院建築におけるBCP—地震,水害

著者: 小林健一1

所属機関: 1国立保健医療科学院医療・福祉サービス研究部

ページ範囲:P.777 - P.780

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■はじめに
 われわれの暮らす日本列島は,地球を覆っている地殻の北米プレート,ユーラシアプレート,太平洋プレート,フィリピン海プレートの4つが衝突するところであり,そこで発生するエネルギーにより世界有数の地震大国となっている.さらにプレートの沈み込みは,地震だけでなく活発な火山活動を誘発している.
 また日本列島はそのほとんどが山地であり,国土面積に占める可住地割合は3割弱で諸外国と比較して著しく小さく,急傾斜地においても宅地開発が進められている.この急峻な国土を流れる河川は,諸外国と比べて短く急勾配であり,激しい降雨の際には一気に流れて急激に水位上昇し,雨量が多い場合にはしばしば洪水となる.このためわが国では江戸時代以前より,利根川・荒川・木曽川・淀川などの大河川において瀬替え(人手による川の付け替え工事)が行われ,人びとの暮らしを守る営みが繰り返されてきた.
 このようにわが国は,地震災害や水害が繰り返し発生する世界でも稀な「災害大国」であるが,これは国土の地理的特性なので,将来的にも変わらないであろう.しかし,過去の災害で得られた教訓を整理し伝えることで,今後の対策・対応に生かすことはできるのではないか.
 本稿では,過去の地震災害・水害による病院被害調査の結果から,病院ではどのような被害が生じたのか,どのような対策が有効なのか,について建築設備の視点を中心に述べる.

参考文献

1)一般社団法人日本医療福祉建築協会:病院の震災対策—東日本大震災からの10の提言.2013
2)一般社団法人日本医療福祉建築協会:熊本地震による医療施設の被害状況に関する調査研究報告書.2017
3)一般社団法人日本医療福祉建築協会:平成30年自然災害による病院の被害状況と事業継続に関する調査研究報告書.2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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