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文献詳細

雑誌文献

病院81巻9号

2022年09月発行

文献概要

特集 想定外を想定せよ—病院BCPのバージョンアップ 分野別病院BCP

病院情報システムのBCP—バックアップの考え方,サイバーテロへの対応

著者: 黒田知宏1 土井俊祐2

所属機関: 1京都大学医学部附属病院医療情報企画部 2東京大学医学部附属病院企画情報運営部

ページ範囲:P.791 - P.794

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■はじめに
 1999年の電子カルテ解禁1)以来,医療機関のIT化は急速に進展し,電子カルテを含む病院情報システムなしでの診療業務運営は,想像しにくくなっている.一方,医療機関に対するサイバー攻撃は日増しに増加・巧妙化してきており,ある日突然病院情報システムを失う可能性も高まっている.サイバーテロを含む情報セキュリティへの「備え方」については拙稿2)を含む他稿へ譲るが,いかに備えようとも攻撃を受けて機能不全に陥る可能性は排除できない.また,本来BCPを考える対象となる災害においても,同様に情報システムを失う可能性は排除できない.情報システムを失ったとき,頼りになるのは「バックアップ」である.
 本稿では,サイバーテロも視野に入れたバックアップの整え方を中心に,病院情報システムを失ったときに備えるBCPの考え方を整理し,その事例として,国立大学病院遠隔バックアップシステム(The Gemini Project)3)とそれを取り巻く運用,および筆者の所属機関のバックアップ体制について紹介する.

参考文献

1)厚生労働省健康政策局長,医薬安全局長,保険局長:診療録等の電子媒体による保存について.健政発第517号,医薬発第587号,保発第82号(1999年4月22日) https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1104/h0423-1_10.html
2)黒田知宏:電子カルテの安全な導入と運用—宇陀市立病院事件を参考に.情報処理60:552-556,2020
3)土井俊祐,佐藤陽水,大江和彦:国立大学病院遠隔バックアップシステム(The Gemini Project)のシステム更新と新機能.医療情報学連合大会論文集40:841-842,2020
4)厚生労働省:医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5.2版(令和4年3月) https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000516275_00002.html
5)吉原博幸:千年カルテプロジェクト—本格的日本版EHRと医療データの2次利用に向けて.情報管理60:767-778,2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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