文献詳細
特集 —地域ニーズに合致した—病院機能の変革
総論:地区診断により自院の病院機能を点検する
文献概要
わが国は急激な人口構造および傷病構造の変化の過程にある.日本のような成熟した社会では,人口の変化はほぼ確実な未来であり,したがって,予想される変化に対して準備をすることは,将来の世代に対する現世代の責任でもある.2025年そして2040年にどのような傷病構造になり,それに対してどのような準備をしなければならないかを考えるための資料の一つが地域医療構想で準備された各種データである.
筆者は地域医療構想の機能別病床数の推計を担当したが,これは,社会保障改革国民会議の委員をされていた永井良三氏の「この国は市場原理で改革をすることも,国の命令で改革をすることもできない.サービス提供者が情報に基づいて,自らの判断と意思で改革をするしかない」といった趣旨の意見に対応するためであった1).日本は,英国やフランスのように国が強制力を持って病院機能の再編を進めることができないし,また米国のように市場原理に任せて医療提供体制を変革させることもできない.日本は,各施設の意思に基づいて変革を行っていくということを,国の委員会で合意し,それが地域医療構想である.
筆者は地域医療構想の機能別病床数の推計を担当したが,これは,社会保障改革国民会議の委員をされていた永井良三氏の「この国は市場原理で改革をすることも,国の命令で改革をすることもできない.サービス提供者が情報に基づいて,自らの判断と意思で改革をするしかない」といった趣旨の意見に対応するためであった1).日本は,英国やフランスのように国が強制力を持って病院機能の再編を進めることができないし,また米国のように市場原理に任せて医療提供体制を変革させることもできない.日本は,各施設の意思に基づいて変革を行っていくということを,国の委員会で合意し,それが地域医療構想である.
参考文献
1)第9回 社会保障制度改革国民会議 議事録(平成25年4月19日),2013
2)石川ベンジャミン光一:Tableau公開サイト https://public.tableau.com/app/profile/kbishikawa
3)厚生労働省:令和元年度病床機能報告公表データ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/open_data_00006.html
4)産業医科大学公衆衛生学教室 NewCarest https://sites.google.com/site/pmchuoeh/files/chv-1
5)クリスチャン・マスビェア,ミゲル・B・ラスムセン(著),田沢恭子(訳):なぜデータ主義は失敗するのか?—人文科学的思考のすすめ,早川書房,2015
6)宇沢弘文:社会的共通資本,岩波書店,2000
7)松田晋哉:地域医療構想のデータをどう活用するか,医学書院,2020
掲載誌情報