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特集 医療法人の徹底活用 医療法人の事業展開
医療法人のあるべき姿とその活用—歴史を振り返り新たな医療法人制度を考える
著者: 伊藤伸一1
所属機関: 1社会医療法人 大雄会
ページ範囲:P.956 - P.960
文献購入ページに移動■はじめに
医療法人制度は1950(昭和25)年の改正医療法によって創設され73年間の長い歴史の中でそれぞれの時代に合わせて大きな変貌を遂げてきた.特に医療法人の非営利性に関しては制度の始まりからそれぞれ関係者の思惑に違いがあったため長きにわたり医療法人の税制上の重要課題として議論が繰り返されてきた.この問題は最終的に第5次医療法改正において医療法人は出資持分なしが原則と規定され,一旦の結論を得たが持分を有する医療法人を経過措置型医療法人と位置付けたことで既存の持分あり医療法人の永続性に不安の声が上がりいまだその解決には至っていない.
その後,1964(昭和39)年に創設された特定医療法人制度や2007(平成19)年の社会医療法人制度は医療機関の公益性を担保とした持分放棄の効果的な解決法であったが,認定要件の厳しさから適応されるものが限定的であったために出資持分の問題はいまだに不透明の状態が続いている.また近年は一般社団法人を母体とする医療機関の設立が増加しており医療法人立の医療機関と運営取り扱いの違いに大きな課題が生じている.医療法人制度が創設された1950年から見ると制度を取り巻く環境があまりに大きく変貌したため改めて制度そのものを見直す時期に来ている.今回は医療法人制度の歴史と税制上の取り扱い,さらには今後のあるべき姿について述べてみる.
医療法人制度は1950(昭和25)年の改正医療法によって創設され73年間の長い歴史の中でそれぞれの時代に合わせて大きな変貌を遂げてきた.特に医療法人の非営利性に関しては制度の始まりからそれぞれ関係者の思惑に違いがあったため長きにわたり医療法人の税制上の重要課題として議論が繰り返されてきた.この問題は最終的に第5次医療法改正において医療法人は出資持分なしが原則と規定され,一旦の結論を得たが持分を有する医療法人を経過措置型医療法人と位置付けたことで既存の持分あり医療法人の永続性に不安の声が上がりいまだその解決には至っていない.
その後,1964(昭和39)年に創設された特定医療法人制度や2007(平成19)年の社会医療法人制度は医療機関の公益性を担保とした持分放棄の効果的な解決法であったが,認定要件の厳しさから適応されるものが限定的であったために出資持分の問題はいまだに不透明の状態が続いている.また近年は一般社団法人を母体とする医療機関の設立が増加しており医療法人立の医療機関と運営取り扱いの違いに大きな課題が生じている.医療法人制度が創設された1950年から見ると制度を取り巻く環境があまりに大きく変貌したため改めて制度そのものを見直す時期に来ている.今回は医療法人制度の歴史と税制上の取り扱い,さらには今後のあるべき姿について述べてみる.
参考文献
1)四病院団体協議会:医療法人の現状と課題に関するアンケート調査報告書.2011年4月 https://ajhc.or.jp/siryo/iryouhouzin_ank_20110401.pdf
2)田中重代(著),社団法人日本医療法人協会(監修):医療法人ものがたり.SEC出版,2012
3)四病院団体協議会:第5回医業経営・税制委員会(令和4年10月13日開催)資料.2022
4)民間病院ドイツ・オーストリア医療・福祉調査団:報告書 医療介護連携に取り組むドイツ 豊かで医師会が強力なオーストリア.医療法人博仁会,2019
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