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特集 コロナパンデミック後の病院スタッフのメンタルヘルスケア 総論:病院スタッフのメンタルヘルスケアを考える
産業保健の視点から考える病院スタッフのメンタルヘルスケア
著者: 小川真規1
所属機関: 1自治医科大学保健センター
ページ範囲:P.104 - P.107
文献購入ページに移動メンタルヘルスは,近年ほとんど全ての業界において問題となっており,医療現場も例外ではない.
医療の現場は,医療機関や部署によって差も大きいが,医療の特性上,総じて緊張感が高い職場が多く,当直や夜勤があるため不規則な勤務形態であり,長時間労働も少なくない.さらに,自己研鑽や講演会,勉強会など,医療そのものの勤務以外にも時間を割くことが多々ある.医療の高度化に伴い,業務の要求水準も高度化している.また,医療従事者間の人間関係のみならず,不安を抱える患者やその家族との関係も構築していく必要があるし,残念ながら職員間・患者からのハラスメントが生じることもある.その他,時として新型コロナウイルス感染症(以下,新型コロナ)のような未知の感染症への対応や針刺し,血液汚染,病原微生物などの生物的要因,抗がん剤,消毒薬,有機溶剤などの化学的要因,重量物,放射線などの物理的要因といったストレッサーも存在する.
このように医療従事者は,さまざまな健康を脅かす要因に囲まれて働いている.どの仕事も有害要因がゼロという業種はないが,医療現場の有害要因は多いと言える.このような勤務環境の中,ストレスを抱え,ストレスからくる身体の不調やメンタル不調を来す人が少なからずいる.
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