文献詳細
文献概要
特集 コロナパンデミック後の病院スタッフのメンタルヘルスケア 総論:病院スタッフのメンタルヘルスケアを考える
組織心理学の視点から考える病院スタッフのメンタルヘルスケア
著者: 前田一寿12
所属機関: 1株式会社ロブ 2大妻女子大学キャリア教育センター
ページ範囲:P.114 - P.120
文献購入ページに移動企業や組織では2022年になり持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)を今後の企業や組織運営の根幹に置こうとする動きが強まっている.17のゴール,169のターゲットとさまざまな方法があるが,まずはこれらを包括して「社会貢献につながる価値創造」「企業・組織が存続するための利益創出」「社員一人一人の幸福度向上」と,相反する可能性もある3つがいかに同時実現できるかがポイントとなっている.これは,後述する「全体最適」「部分最適」「個人最適」といった最適化の視座をどう持つかである.
医療機関では,公共財として医療分野を通じて社会に貢献できる価値を生み出している.利益追求が最優先ではないものの,医療に従事するスタッフへの報酬や,設備などの投資も必要であり,継続的に活動していくには,その原資となる利益は不可欠である.また,仕事を通じてスタッフの幸福度が高まらなければ,スタッフは働きがいややりがいが持てなくなり,心身の状態もマイナスの方向に向かう.それは組織にも派生し,新陳代謝も進まなくなる.これらを考えると前述のSDGsに関する3つの概念は医療機関にも当てはまることが分かる.そこで本稿では,Withコロナ下,コロナ後の医療機関の運営をどう考えていくか組織心理学の観点から検討していきたい.
職場風土の改善は,心身の状態の改善にも大きくつながる.ストレスチェックを活用してその状況を客観的に分析することで,価値を生み出せる新たな組織への脱皮も考えられる.まずはストレスおよびストレスチェックの説明から始める.
掲載誌情報