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特集 コロナパンデミック後の病院スタッフのメンタルヘルスケア 病院スタッフのメンタルヘルスケアの具体策
精神科認定看護師によるクラスター発生施設でのメンタルヘルス支援
著者: 今村健次1 加藤和広2
所属機関: 1公益財団法人慈愛会 法人事業本部看護部支援室 精神科 2公益財団法人慈愛会 谷山病院 精神科
ページ範囲:P.130 - P.134
文献購入ページに移動新型コロナウイルス感染症が2019年に確認され,全世界で急速に感染拡大し,いまだ収束に至っていない(図1).当初,新型コロナウイルス感染症は,未知の感染症として対策をとりつつも,感染に対する不安や恐怖,差別や偏見,生活の行動制限はストレスとなっていた.特に新型コロナウイルス感染症について医療提供を続ける医療従事者のストレスは癒えることなく,職場や生活場面でのストレスの蓄積による影響は大きかった.
2020年9月に厚生労働省により行われた「新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルスに関する調査」2)では,半数以上が何らかの不安等を感じ,そのうち6割以上が「自分や家族の感染への不安」を感じていた.また,医療,福祉の従事者は「自分や家族が感染するかもしれない」「自分や家族が感染したら,人から批判や差別,嫌がらせを受けるかもしれない」といった不安を抱えていることが報告されている.
さらに,医療機関や施設でクラスターが発生した場合,患者や利用者へ感染させてしまったことや不安にさせたこと,周りのスタッフや知人に感染の不安を感じさせたことで従事者は自責の念に駆られ,さらに続く感染への不安,偏見や差別によってストレスの高い状況となる.日常であれば,しっかりと休息をとることや家族や友人,職場の仲間と語り合いを通して乗り越えるなど,各々にストレス対処してきたことも,感染禍において難しい状況となる.
本稿では,クラスターが発生した病院・施設での精神科認定看護師によるメンタルヘルス支援を振り返り,コロナ禍の医療・福祉現場で働く従事者のメンタルヘルスの状況と今後のメンタルヘルス支援についての検討を報告する.
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