特集 これからの重症度,医療・看護必要度
現場での活用方法と課題
療養病床における重症度,医療・看護必要度の活用可能性—「慢性期治療病床」への転換に向けて
著者:
橋本康子12
所属機関:
1日本慢性期医療協会
2医療法人社団和風会 千里リハビリテーション病院
ページ範囲:P.235 - P.237
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療養病床における重症度,医療・看護必要度とは,「医療区分」と「ADL区分」のこととなろう.これらの区分を3段階に分けた組み合わせにより療養病棟入院料1および2のそれぞれにおいて,9つの療養病棟入院料が決められている(表1は療養病棟入院料1).療養病棟では,これら9つのどれかに該当する入院料(投薬,注射,検査,病理診断などが包括)に,処置や手術,画像診断などの出来高を加えて算定している.急性期DPCや地域包括ケア病棟,回復期リハビリテーション病棟など包括となる入院料部分に出来高を加える仕組みと同様である.そのため,療養病床における重症度,医療・看護必要度,つまり医療区分,ADL区分は,病院が得られる診療報酬を決めるものではあるが,それと同時に医療の質などを検討するツールとして活用できれば,より有益な指標とすることができるはずである.
そこで,本稿では,特に現状の医療区分について,日本慢性期医療協会(以下,日慢協)が考えている課題を提示し,医療の質を高める指標としての方向性を提示したい.