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文献詳細

雑誌文献

病院82巻3号

2023年03月発行

文献概要

特別記事

病院に求められる性的指向と性自認の多様性への取り組み—LGBTQ+である患者の受診を想定して

著者: 日高庸晴1 野田洋子2 今中秀光2

所属機関: 1宝塚大学看護学部 2宝塚市立病院

ページ範囲:P.252 - P.257

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■なぜ病院が性的指向と性自認の多様性に対応しなければいけないか
 LGBTQ+注1について耳にする機会がマスメディアや政治の場面でかつてより圧倒的に多くなっていると思われ,医療や福祉領域の専門職養成課程や病院の医療現場においてもそれは例外ではない.個々の患者には多様な背景があることを認識するとともに,基本的人権の一つとして性的指向・性自認の多様性があることや,これらのニーズが尊重された上で医療を提供することの重要性が認識されるようになりつつある.しかし,これまでにも,そして現在もLGBTQ+のいずれかに当てはまる患者やその家族は医療機関に受診していたにもかかわらず,その存在認識と個別の背景に応じた対応が十分にできていなかった病院現場が圧倒的ではないだろうか.
 対応する際に留意が求められることは,医療従事者の多くは治療上必要な情報の職員間の共有は行って当然という認識を持っているが1),性的指向と性自認は極めて機微な個人情報の一つであり,結果として意図しない暴露(アウティング)にもなりかねず,患者本人の意向を確認することである.

参考文献

1)野田洋子:宝塚市立病院におけるLGBTs対応—病院管理・看護管理の課題として考える. 看護管理32:918-923,2022
2)文部科学省:医学教育モデル・コア・カリキュラム 平成28年度改訂版.2017 https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2017/06/28/1383961_01.pdf
3)厚生労働省:看護師国家試験出題基準(平成29年4月25日).2017 https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10803000-Iseikyoku-Ijika/0000158947.pdf
4)日本看護協会:助産実践能力習熟段階活用ガイド2022.2022 https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/guideline/CLoCMiP_katsuyo.pdf, 日本看護協会
5)厚生労働省:人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン 解説編.2018 https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197702.pdf
6)三部倫子:「LGBTの患者対応についての看護部長アンケート」報告書(科学研究費補助金「研究活動スタート支援」,課題名「医療機関における家族—性的指向と性自認を軸とする患者・看護師の相互行為).2019
7)日高庸晴:第2回LGBT当事者の意識調査—世の中の変化と,当事者の生きづらさ.ライフネット生命保険プレスリリース,2020 https://www.lifenet-seimei.co.jp/shared/pdf/20208-31-news.pdf
8)ロバート・サイモンズ(著),伊藤邦雄(監訳):戦略評価の経営学.ダイヤモンド社,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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