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病院に求められる性的指向と性自認の多様性への取り組み—LGBTQ+である患者の受診を想定して
著者: 日高庸晴1 野田洋子2 今中秀光2
所属機関: 1宝塚大学看護学部 2宝塚市立病院
ページ範囲:P.252 - P.257
文献購入ページに移動LGBTQ+注1について耳にする機会がマスメディアや政治の場面でかつてより圧倒的に多くなっていると思われ,医療や福祉領域の専門職養成課程や病院の医療現場においてもそれは例外ではない.個々の患者には多様な背景があることを認識するとともに,基本的人権の一つとして性的指向・性自認の多様性があることや,これらのニーズが尊重された上で医療を提供することの重要性が認識されるようになりつつある.しかし,これまでにも,そして現在もLGBTQ+のいずれかに当てはまる患者やその家族は医療機関に受診していたにもかかわらず,その存在認識と個別の背景に応じた対応が十分にできていなかった病院現場が圧倒的ではないだろうか.
対応する際に留意が求められることは,医療従事者の多くは治療上必要な情報の職員間の共有は行って当然という認識を持っているが1),性的指向と性自認は極めて機微な個人情報の一つであり,結果として意図しない暴露(アウティング)にもなりかねず,患者本人の意向を確認することである.
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