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特集 急増する高齢者救急—医療提供体制の見直しと自院の役割 総論
高齢者救急の急増と医療機能の集約化・分散化
著者: 村上正泰1
所属機関: 1山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座
ページ範囲:P.481 - P.485
文献購入ページに移動地域医療構想では,高度急性期,急性期,回復期,慢性期という4つの機能ごとに2025年時点の必要病床数が示されている.慢性期を除き,診療報酬点数で評価した医療資源投入量に基づいて地域の機能別患者数を推計しているが,臨床の実態と必ずしも合致していない.しかも,必要病床数だけでは,「それぞれが等しくダウンサイジングや,急性期から回復期への機能の転換に取り組む」ので良いのか,それとも「急性期機能をどこかの病院に集約化する」とか「複数の病院を再編・統合する」ことが必要なのか,といった方向性も明確ではない.
今後の医療提供体制を考える上では,医療資源を多く必要とする専門的な医療は,広域的に拠点となる基幹病院への集約化が必要になる.他方で,日常的で頻度の高い医療ニーズに対応する診療機能まで基幹病院に集約化されると,本来的にそれらの病院で果たすべき機能と乖離が生じてしまう.そうした診療機能は,ある程度の身近な地域で確保する必要がある.
少子高齢化・人口減少に伴って変化する医療ニーズに対応するには,地域の患者数や医療資源の状況にも応じながら,「集約」すべき機能と,ある程度は「分散」すべき機能のバランスを考えることが重要である.本稿では,いくつかのデータや事例を紹介しながら,その点を検討する.
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