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特集 急増する高齢者救急—医療提供体制の見直しと自院の役割 各論:高齢者救急に対する医療提供体制の在り方を考える
急増する高齢者救急を支える地域包括ケア病棟の役割—multimorbidity患者の入院の実態も踏まえて
著者: 仲井培雄12
所属機関: 1地域包括ケア病棟協会 2医療法人社団和楽仁 芳珠記念病院
ページ範囲:P.492 - P.496
文献購入ページに移動コロナの出口戦略は本年(2023年)3月13日のマスク着用の個人判断に始まり,5月8日の2類相当から5類感染症への変更に伴うさまざまな変更が実施された.2023年度はコロナ中心の医療が,高齢虚弱の“multimorbidity(多疾患併存)1)患者”中心の医療・介護へと混在・移行するように感じている.“multimorbidity”の定義は確立されてはいないが,一般的に「複数の慢性疾患が一個人に併存している状態であり,中心となる疾患を特定できない状態」とされる.
実際にわれわれが日常臨床でみる割合が増えている患者像は,コロナの有無にかかわらず複数疾患を有し,高齢でADLと栄養状態,認知機能が低下し,ポリファーマシーになりやすく,入院前から継続して入院中も包括的な生活支援や意思決定支援を必要とする患者である.リハビリテーション(以下,リハ)は,社会復帰を目指す脳卒中モデルよりも,生活復帰を目指す廃用症候群・認知症モデルが主となり,アドバンス・ケア・プランニング(ACP)や多職種協働カンファレンスによる意思決定支援や合意形成は必須となる.
地域包括ケア病棟は,急性期後の患者の受け入れ(ポストアキュート)と在宅療養中の患者などの受け入れ(いわゆるサブアキュート),在宅復帰支援の3つの機能2)を活かして,このような患者を受け入れ,地域包括ケアシステムを支える.
参考文献
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