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連載 地域と医療の未来を創る中小病院のあり方・3
コミュニティホスピタルを支える総合診療医と教育
著者: 大杉泰弘12
所属機関: 1藤田医科大学連携地域医療学 2公益財団法人豊田地域医療センター
ページ範囲:P.540 - P.542
文献購入ページに移動2018年から日本においても総合診療専門研修プログラムが始まった.従来の総合診療医の働き場所は,総合内科の流れをくむ急性期病院,家庭医療の流れをくむ診療所と大きく2つがあった.従来,200床未満の中小病院は総合診療の研修先や働き場所としてあまり注目されていなかったが,コミュニティホスピタル化することでその魅力は総合診療医にとって大きくなってきている.つまり2018年にスタートした総合診療専門研修によって,研修先またその後の働き場所としてコミュニティホスピタルは最適な医療機関の一つとなった.
病院組織をマネジメントするためには,若手医師を戦略的にリクルートし,中長期的なビジョンを持ち,次世代のリーダー育成を見据えたビジネスモデルを構築することが重要であるが,今まで中小病院はその独自の魅力で若手の医師を集めることが難しかった.そのため医局からの医師派遣(医局派遣)やエージェントなどに頼って領域別専門医を集め病院を運営してきたのだが,それによって小さな病院にもかかわらず縦割りの医療になったり,在宅医療など新たな分野に踏み出すことができなかったりなど,デメリットが生じていた.
コミュニティホスピタルへと変革するためには,病棟・外来・在宅医療など多岐にわたる診療の場や,さらに地域活動などを実践する医師が必要であり,それには総合診療医が最もふさわしい存在である.
したがって,地域医療の担い手として医療ニーズに応えるためには複数人の総合診療医が働く病院にしていくことが必要であり,そのためには総合診療専攻医のリクルート体制を作ることが必須であるといえ,教育体制の整備が最重要である.
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