icon fsr

文献詳細

雑誌文献

病院82巻8号

2023年08月発行

特集 病院経営から考える医薬分業

薬剤師から見た医薬分業のあるべき姿

社会的・歴史的背景を踏まえた医薬分業の望ましい姿—日本薬剤師会

著者: 山本信夫1

所属機関: 1公益社団法人日本薬剤師会

ページ範囲:P.686 - P.688

文献概要

◆薬剤師・薬局制度の導入
 わが国に薬剤師・薬局制度が導入されたのは,およそ150年前.1874(明治7)年に明治政府により示された医制の21条において「医師たるものは自ら薬をひさぐことを禁ず,医師は処方書を病家に附与し相当の診察料を受くべし……」と記載されたことに始まり,1889(明治22)年に交付された薬律(薬品営業並薬品取扱規則)の第1条において「薬剤師トハ薬局ヲ開設シ医師ノ処方箋ニヨリ薬剤ヲ調合スル者ヲ云フ」と記載され,制度的には確立されている.しかしながら,当時の医療人材環境はその数において,医師に対して薬剤師の数が少なく,必ずしも時の政府が期待したようにはならなかった.欧米並みにわが国の医療制度を変えてゆく方針を充足するには「十分ではない」との強い意見に押され,法律はできたものの,「医師と薬剤師」の職能の分離,いわゆる「医薬分業」は法制度上の定義にとどまり,それまで同様「医師が自ら投薬する」状態が継続されることとなる.今日でも「Dispensing Doctor」と呼ばれているこうした状況は,世界薬剤師・薬学連合(FIP)などでも,グローバルな視点から改善すべき重要な課題とされている.
 また,1889(明治22)年当時,政府が欧州から導入した薬剤師・薬局制度の趣旨を,必ずしも正確に理解していたとも言い難い.今日,医薬分業を定義する際に誰しもが,薬剤師ですら,「医師が処方箋を発行し,薬剤師がその処方箋に基づき調剤をすること」と答える.誤りではないが,かといって正しい定義ではないと筆者は考えている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら