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雑誌目次

雑誌文献

病院83巻11号

2024年11月発行

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Interview

人と地域を育む病院組織マネジメント

著者: 田中志子 ,   松原由美

ページ範囲:P.833 - P.841

日本では人口減少が進む一方,要介護や認知症の高齢者は増加している.
地域の人口構造や患者像の変化への対応を迫られる中,職員をいかに育成し,いかに定着を図るか.
慢性期病院を中核とする地域包括ケアを構築してきた田中志子氏に人と地域を育む病院組織マネジメントの在り方について聞く.

特集 病院の価値を創る組織マネジメント

扉/本特集の論旨が分かるPoint一覧<病院の価値を創る組織マネジメント> フリーアクセス

著者: 松原由美

ページ範囲:P.850 - P.851

 地域における病院の価値を創るにはまずは戦略が重要であるが,戦略を考案するのも,実践するのも人である.組織が動いてはじめて戦略も生き,人が育つことで組織も育つ.そもそも病院の患者満足度向上の第一歩は,職員満足の向上からといわれている.人材開発や組織開発など,組織マネジメントにおける実証研究に基づく知見が蓄積されつつあり,それらを活用できるか否かが,人口激減社会の中では経営に従来以上の影響を及ぼす.本特集では組織マネジメントについて論じていただき,フロントラインに立つ職員一人一人が生き生きと働き,熱意を持って日々仕事に従事し,病院の価値を創る組織の在り方を探る.

ワーク・エンゲイジメントに注目した組織と個人の活性化

著者: 島津明人

ページ範囲:P.852 - P.858

Point
ワーク・エンゲイジメントはバーンアウトの対概念であり,活力・熱意・没頭から構成される.ワーク・エンゲイジメントの向上には,組織に向けたアプローチと個人に向けたアプローチのほか,仕事外の要因に注目したアプローチがある.職員や組織のニーズを考慮しながら,各アプローチを適切に組み合わせることが重要である.

人と地域コミュニティに貢献する病院—コミュニタリアニズム的公共哲学とポジティブ組織マネジメント

著者: 小林正弥

ページ範囲:P.860 - P.865

Point
コミュニティーに貢献するために,コミュニタリアニズムの思想を参考にして,多様性・包摂・公正・帰属感という新理念も念頭に置き,ポジティブ心理学を応用した組織マネジメントにより,多様な人々が,自分自身の病院と思えるような明るく温かい雰囲気をつくり,医療を通じて地域のウェルビーイングを高めることを願いたい.

職員が生き生きと働ける職場を創る組織開発

著者: 北居明

ページ範囲:P.866 - P.870

Point
組織開発は,メンバーの参加や自発的行動を通じ,組織を変革する方法である.変化が激しく不透明な環境下では,トップダウンや計画よりも組織開発を通じた組織変革が有効な場合も多いと考えられる.特に,新しいイメージに基づく新しい対話や発想を促す対話型組織開発の実施は,組織の創造力や革新性を促進する上で今後ますます求められるようになるだろう.

アプリシエイティブ・インクワイアリーによる対話型組織開発で創る病院の価値

著者: 川村尚也

ページ範囲:P.872 - P.877

Point
アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)とは,ヒューマン・システムが最善の状態で機能しているとき,それに生命を吹き込んでいるものは何かについての研究や探求である.AIの活用により,病院組織の内部調整の質の向上と時間・コストの削減,医療安全と医療の質の改善・保証,患者と職員に提供する価値の向上,病院の地域社会への一層の貢献とガバナンスの強化などが期待される.

「最後の1マイル」としてのコーチング—「学習する組織」構築の取り組みにおけるコーチングの役割

著者: 市瀬博基

ページ範囲:P.878 - P.882

Point
コーチングを,すぐに変えることが困難な組織メンバーの根源的特性に変容をもたらすツールとして捉えることにより,学び続けるメンバーを育成するとともに戦略に沿った組織行動を生み出し,「学習する組織」をつくり上げることができる.

経営マネジメント系研修を生かした組織づくり—AIFインスティテュートの設置と取り組み

著者: 山村達雄

ページ範囲:P.884 - P.891

Point
生長会・悠人会グループでは,理念経営システムの一環として,組織の持続と成長を担うリーダーの人材育成・人材開発をする「AIFインスティテュート」を一昨年に設置した.法人内のみならず,地域と共に医療・介護の経営マネジメントを学べるプラットフォームを目指している.

連載 アーキテクチャー×マネジメント・118

【鼎談】建築コストについて考える〜前編〜

著者: 遠藤和義 ,   本地央明 ,   筧淳夫

ページ範囲:P.842 - P.846

医療施設整備における建築コストが高騰している.
その主な要因として建築資材の価格高騰や人件費の高騰が挙げられるが,これに対し医療施設はどのように対応していけばよいのか.
今回は,工学院大学建築学部教授の遠藤和義氏,独立行政法人福祉医療機構の本地央明氏,および工学院大学建築学部教授の筧淳夫氏(本誌編集協力委員/司会)に議論していただき,前編と後編の2本立てで掲載する.
前編では,現状をどう捉え,どのように資金を調達すればよいのか,その考え方と選択肢を整理する.

医療機関で起きる法的トラブルへの対処法・43

採用をめぐるトラブル

著者: 加古洋輔 ,   粉川航平

ページ範囲:P.894 - P.897

■1 はじめに
 病院が持続的に成長するためには,新たな人材を採用することが不可欠です.もっとも,いくら面接を重ねても,応募者がどのような人か理解するには限界があり,採用後に問題が生じることはある程度避けられません.
 本稿では,そのような採用をめぐって生じる法的トラブルとして,①採用内定取り消しをめぐるトラブル②労働契約の内容をめぐるトラブル,の2つを取り上げます.

事例と財務から読み解く 地域に根差した病院の経営・48

公益財団法人宮城厚生協会 坂総合病院—理念をともにする医師たちによって発展してきた地域医療の最前線

著者: 堀之内重人

ページ範囲:P.898 - P.904

 坂総合病院(以下,同院)は,古くから在宅医療に取り組みつつ,地域の救急・急性期医療の中心を担うまでに発展してきた病院である.
 同院の院長であり,経営主体である公益財団法人宮城厚生協会(以下,法人)の副理事長を務める冨山陽介氏(以下,冨山院長)は,在宅と救急に共通点を見出している.疾病のフェーズとしては異なるが,「地域で最も困っている人を対象としているという意味では,ともに医療の最前線」ということだ.
 最前線で地域医療を支える同院は,実践する医療や研修の魅力によって医師を集めることで発展してきた.その歴史や取り組みを紹介したい.

臨床医が病院長になった日・11

何も知らない大学教授が病院長になってしまった日 フリーアクセス

著者: 小川修

ページ範囲:P.906 - P.907

■全ての始まり
 新型コロナウイルス感染症発生から半年が経過し,第2波によって京都大学医学部も附属病院も大混乱となっていた2020年夏のある日,医学生時代の同級生で附属病院の病院長をしていたM教授から呼び出しがありました.「先生,来年の春から大津日赤に院長として着任してくれへん? 泌尿器科学会総会のお世話も終わったし,もうやり残したこともないやろ」と打診を受けました.それが全ての始まりでした.当時,私は大学教授(専門は泌尿器科学)としての定年まで2年あったので,ちょっと戸惑いましたが,恩師でもある先代の教授からは「もし次の役職で良いところがあったら,定年にこだわらず若いうちにチャレンジした方がいいよ」と助言を受けていました.また,教授職も20年以上務めさせてもらったので幾分マンネリ化していて,次を担う若い世代に老害となって迷惑をかけるのもいやでしたので「喜んで行かせてもらいます」と即答しました.唯一の問題は家内の説得でしたが,大津赤十字病院(672床)は自宅から通勤可能なので,わりとすんなり受け入れてくれました.

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ページ範囲:P.848 - P.849

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ページ範囲:P.909 - P.909

次号予告 フリーアクセス

ページ範囲:P.912 - P.912

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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