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雑誌目次

雑誌文献

病院83巻12号

2024年12月発行

雑誌目次

Interview

2024年度診療報酬改定をどう受け止めるか

著者: 小塩隆士 ,   太田圭洋

ページ範囲:P.913 - P.920

大規模な改定となった2024年度の診療報酬改定.
中医協(中央社会保険医療協議会)では,公益裁定を行うなど,支払側と診療側で意見が衝突する部分も多かった.
今回の改定を中医協答申という形でまとめた立場から,中医協会長の小塩隆士氏に,議論となったポイントや問題点とともに,全国の病院関係者に伝えたい思いなどを聞く.

特集 検証 2024年度診療報酬改定—病院の機能分化と連携の行方

扉/本特集の論旨が分かるPoint一覧<検証 2024年度診療報酬改定—病院の機能分化と連携の行方> フリーアクセス

著者: 太田圭洋

ページ範囲:P.930 - P.931

 2024年度診療報酬改定は,コロナ禍から脱却し平時に戻ったタイミングということもあり,地域医療における機能分化を進めることを目的に,かなり大規模な改定になった.また,介護報酬,障害福祉サービス等報酬との同時改定ということもあり,高齢者が増え続ける一方で生産年齢人口が減少していく中,地域医療を支えていくために制度間の連携をよりスムーズにし,全体として地域包括ケアを効率的に実施できる体制を目指した改定内容も盛り込まれた.
 本号では,改定実務を行った厚生労働省保険局医療課,中央社会保険医療協議会支払側委員,診療側委員に,具体的な改定内容の中で特にポイントと考える点を伺い,また,今回の改定でテーマであった地域包括ケアの構築に注力しながら高齢者救急の受け入れを行っている都市部,地方部の中小規模の病院における本改定の受け止めと対応,今後の制度改正に関する考察から,各医療機関が厳しい経営状況を乗り切る方策を考える内容を目指したい.

総論

2024年度診療報酬改定で目指したもの

著者: 加藤琢真

ページ範囲:P.932 - P.937

Point
2024(令和6)年度診療報酬改定は,物価高騰による医療機関の負担が大きくなる中,2040年に向けてさらなる高齢化および人口減少に備え,機能分化や連携にかかる不断の見直しが余儀なくされた.また,コロナの類型変更に伴う感染症対応の恒常化,医療DXおよび働き方改革の推進など,中長期的視点に立った改定が強く求められた改定であった.

2024年度診療報酬改定と病院医療

著者: 太田圭洋

ページ範囲:P.938 - P.945

Point
2024年度診療報酬は機能分化の推進,医師の働き方改革対応,医療職の処遇改善,医療DX対応など大規模な改定となった.重症度,医療・看護必要度の大幅な見直し,地域包括医療病棟入院料の新設など,地域の病院運営に大きな影響を及ぼす改定内容となっている.本体改定率0.88%の制約の中での改定であり,病院経営には非常に厳しいものとなっている.

2024年度診療報酬改定における議論,および改定結果の受け止め

著者: 松本真人

ページ範囲:P.946 - P.950

Point
今回の診療報酬改定は医療,介護,障害福祉サービスの同時改定であったので,相互の連携に加え,サービスの提供の基礎部分でもある人材確保に配慮した形となった.一方,ポスト2025を見据えた医療機能の分化・強化と連携を通じて,国民皆保険制度はぜひ守っていかなければならない.

各論:診療報酬改定

民間ケアミックス病院へのインパクト

著者: 今村康宏

ページ範囲:P.951 - P.961

Point
今回の診療報酬改定においてはほぼ全ての病棟機能についてさまざまな見直しがなされ,さらには地域包括医療病棟が新設されるという大きなインパクトがもたらされた.当院でもさまざまな角度から改定の影響を検証したが,ケアミックス病院ならではの葛藤もあった.当院での各種シミュレーションを供覧し,厳しい経営環境の中の収益改善の可能性について考察してみたい.

地方都市で高齢者救急を担う病院の立場からの検討

著者: 甲賀啓介 ,   伊神奈穂

ページ範囲:P.962 - P.967

Point
当院は,急性期病棟を維持するため,2024年度診療報酬改定で新設された地域包括医療病棟への一部転換を決定した.急性期一般入院料1の基準強化により,患者の適切な振り分けや多職種連携が求められ,重症度,医療・看護必要度の評価指標の見直しが必要とされている.しかしながら,新設された地域包括医療病棟の導入には課題が多く,その評価指標の再検討が求められる.

2024年度診療報酬改定にどう向き合うか

著者: 佐藤拓 ,   渡辺徹

ページ範囲:P.968 - P.973

Point
今回の診療報酬改定において,当院にとって最も大きな変更点はDPC対象病院にデータ数の基準が設けられたことである.当院は急性期病床数が少ない,脳神経外科を中心としたDPC病院であり,とりわけ影響は深刻であったが,いかに対策を立案し,実行することでDPCデータ数の増加に対応したかを述べたい.

大都市地域密着型急性期中小病院の立場からの検討

著者: 小川聡子

ページ範囲:P.974 - P.979

Point
ボリュームゾーンの高齢者救急整備は重要.しかし,地域を支える病院機能は高齢者のみ,は非現実的だ.瀕死の地域密着型急性期(二次救急)は,入院と外来機能両方で評価すべきである.入り口で起きていること,実績で評価する仕組みを作り,われわれ現場も政策決定者も正しいデータを元に議論し,手を打っていくことが安心安全な未来を創る.

連載 アーキテクチャー×マネジメント・119

【鼎談】建築コストについて考える〜後編〜

著者: 遠藤和義 ,   本地央明 ,   筧淳夫

ページ範囲:P.921 - P.927

医療施設整備における建築コストが高騰している.
その主な要因として建築資材の価格高騰や人件費の高騰が挙げられるが,これに対し医療施設はどのように対応していけばよいのか.
より合理的に建築する方法はないのか.
前回に引き続き,工学院大学建築学部教授の遠藤和義氏,独立行政法人福祉医療機構の本地央明氏,および工学院大学建築学部教授の筧淳夫氏(本誌編集協力委員/司会)を迎え,医療施設の在り方も含めて,今後の展望を考える.

医療機関で起きる法的トラブルへの対処法・44

テナントとして入っている売店・自販機コーナーの明け渡し

著者: 小林京子

ページ範囲:P.982 - P.986

■1 借地借家法の適用の有無(Q①,Q②)
 モノや場所を有償で貸す場合には,契約書のほか民法の賃貸借契約に関する条文が適用されますが,貸す対象が「建物」である場合には,さらに,民法の特別法である借地借家法が適用されます★2
 借地借家法は土地や建物の借主保護を主眼とする法律ですので,貸主が賃貸借契約を終了させる場面では,一定の条件(同法が定めた条件)を満たさない限り契約終了が認められません.
 売店区画はわずか8m2に過ぎませんが,借地借家法が適用されるのでしょうか.この点につき,過去の最高裁判決では,たとえ建物の一部であっても,障壁その他によって他の部分と区画されて独占的排他的支配が可能な構造・規模であるものは,借家法★3にいう「建物」に当たると解するとされています★4

ケースレポート 地域医療構想と病院・62

済生会熊本病院(2)—連携先病院の視点から

著者: 松田晋哉

ページ範囲:P.988 - P.993

■はじめに
 前報では済生会熊本病院と地域の連携医療機関とのアライアンスについて,済生会熊本病院の側から記述した1).済生会熊本病院は高度急性期・急性期の病院として機能し続けるためには,紹介元・紹介先の医療介護施設とWin-Winの連携体制を構築することが必要であるという認識の下,入院患者数の転院先の半数を占める8病院とアライアンスを形成し,このアライアンスが地域の他の医療・介護施設と連携して,継続的な医療・介護サービスを提供する体制を確立している.今回は,連携先の病院の視点から,このアライアンスの利点について記述してみたい.

臨床医が病院長になった日・12

手術漬けの外科医から病院長へ フリーアクセス

著者: 神山俊哉

ページ範囲:P.994 - P.995

■大学病院での臨床医生活
 24年間勤めた北海道大学病院を退職し,2022年に静和記念病院長に就任いたしました.北海道大学を卒業後,北海道大学第一外科に入局,複数の道内基幹病院で外科の修練をし,2年の研究生活で学位を取得したあと釧路労災病院外科部長として地域医療に従事しました.

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目次 フリーアクセス

ページ範囲:P.928 - P.929

Back Number フリーアクセス

ページ範囲:P.997 - P.997

次号予告 フリーアクセス

ページ範囲:P.1000 - P.1000

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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