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連載 ケースレポート 地域医療構想と病院・57
人口過疎地域における病院医療の課題—釧路医療圏の訪問調査から
著者: 松田晋哉1
所属機関: 1産業医科大学医学部公衆衛生学教室
ページ範囲:P.154 - P.161
文献購入ページに移動高齢社会は生活の安心に関心が集まる.COVID-19の流行は,地域の安心を保証する医療機関や介護施設の重要性を再認識させたはずであった.しかし,いつの間にか,パンデミック時にその必要性を強調された医療制度改革のほとんどの議論に対する関心が薄れてしまっているように見える.特に医療資源の少ない地方では,地域の安心を保証する社会的共通基盤としての病院の価値が認識されたはずであったのに,コロナ後に期待されたそうした地方の医療機関への支援はほとんど行われていない.これらの地方では,医療サービスの基盤となる一般経済状態も悪化している.そして,こうした環境条件が病院経営に負の効果を与えている.また,これまでの一連の医療制度改革の負の影響が出ていることも否定できない.筆者はこうした問題意識から,ここ数年地方の病院の訪問を行っている.本稿では北海道釧路医療圏の病院の訪問調査の結果をもとに,上記の問題について論考してみたい.
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