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文献詳細

雑誌文献

病院83巻2号

2024年02月発行

文献概要

連載 ケースレポート 地域医療構想と病院・57

人口過疎地域における病院医療の課題—釧路医療圏の訪問調査から

著者: 松田晋哉1

所属機関: 1産業医科大学医学部公衆衛生学教室

ページ範囲:P.154 - P.161

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■はじめに
 高齢社会は生活の安心に関心が集まる.COVID-19の流行は,地域の安心を保証する医療機関や介護施設の重要性を再認識させたはずであった.しかし,いつの間にか,パンデミック時にその必要性を強調された医療制度改革のほとんどの議論に対する関心が薄れてしまっているように見える.特に医療資源の少ない地方では,地域の安心を保証する社会的共通基盤としての病院の価値が認識されたはずであったのに,コロナ後に期待されたそうした地方の医療機関への支援はほとんど行われていない.これらの地方では,医療サービスの基盤となる一般経済状態も悪化している.そして,こうした環境条件が病院経営に負の効果を与えている.また,これまでの一連の医療制度改革の負の影響が出ていることも否定できない.筆者はこうした問題意識から,ここ数年地方の病院の訪問を行っている.本稿では北海道釧路医療圏の病院の訪問調査の結果をもとに,上記の問題について論考してみたい.

参考文献

1)産業医科大学医学部公衆衛生学教室サイト:地域別人口変化分析ツール All Japan Areal Population-change Analyses(AJAPA) https://sites.google.com/site/pmchuoeh/files/chv-1
2)厚生労働省:DPC導入の影響評価に関する調査:集計結果 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049343.html
3)内閣府:経済・財政と暮らしの指標「見える化」ポータルサイト:医療提供状況の地域差 https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/mieruka/tiikisa.html
4)北海道:北海道における医療機能ごとの病床の現状:病床機能報告 https://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/iyk/iry/imu/byousyoukinou.html
5)松田晋哉:欧州医療制度改革から何を学ぶか—超高齢社会日本への示唆,勁草書房, 2017
6)松田晋哉:地方都市における地域包括ケアシステムのモデル事例— 一般社団法人慈恵会(青森市),病院82: 726-732, 2023

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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