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連載 医療機関で起きる法的トラブルへの対処法・37
横領が発覚したらどうするか
著者: 増田拓也1
所属機関: 1弁護士法人 色川法律事務所
ページ範囲:P.408 - P.411
文献購入ページに移動2022年,三重県南伊勢町は,町立南伊勢病院事業において多額の使途不明金が発覚したことを公表しました★1.監査報告書では,元職員が病院の口座から無断で出金し着服するなどの方法で公金横領を行ったものであり,病院事業の損害は合計1億5538万6000円であると報告されています★2.この事件では,当該元職員だけでなく,その元上司(病院事務長ら)4人に対して,その在任期間中に発生した損害額の3割について賠償責任を負わせることが適当であるとの監査意見★3があり,職員賠償命令が行われました.元上司らの中には,2926万9636円の賠償命令を受けた者もいます★4.その結果,元上司らの一部が賠償命令の取消しを求め訴訟を提起したことが報道されています★5.
このように,横領は,病院という組織にとっても深刻な問題ですが,病院事務長などの職員個々人にとっても,同様に深刻な問題です.
本稿では,横領が発覚した場合の対応について,設例をもとに確認します.
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