icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

病院83巻6号

2024年06月発行

雑誌目次

Interview

緊張感の高い医療現場だからこそウェルビーイング経営を—幸せに働ける職場づくり

著者: 前野隆司 ,   松原由美

ページ範囲:P.425 - P.432

命に関わる緊張感と社会的使命,その分,ストレスも高い病院組織において,職員が「幸せ」に働き続けるためには何が必要か.
幸せを感じる4つの因子を発見,組織におけるウェルビーイング経営(幸福経営)を研究する前野隆司氏に,職員がやる気を出し,幸せに働ける職場づくりの秘訣を聞いた.

特集 人を重視した病院組織マネジメント

扉/本特集の論旨が分かるPoint一覧<人を重視した病院組織マネジメント>

著者: 松原由美

ページ範囲:P.442 - P.443

 人が多い時代においては人が組織に合わせる働き方が当然視されていた.しかし少子高齢化が加速し,多くの産業において人手不足が生じている今,人に組織が合わせる時代となった.病院の価値を創造するのは人である.人とは何か多面的に探りながら,人を重視し人を生かす病院経営の在り方を探る.

経営・マネジメント層から始める,病院の「心理的安全性」構築戦略

著者: 石井遼介

ページ範囲:P.444 - P.449

Point
高パフォーマンスやインシデント早期発見等,効果的な組織の鍵となる心理的安全性.その醸成には,マネジメント層からのアプローチが重要だが,病院の経営層特有のヒエラルキーが障害となりうる.その構造を理解した上で,経営層から自ら心理的安全性を宣言し,行動を変え,仲間を集い,チーム・組織を変えていく.

ホスピタリティマネジメントと円卓発想を用いた人財育成

著者: 吉原敬典

ページ範囲:P.450 - P.456

Point
ホスピタリティ溢れる病院組織が求められている.いわば,医療従事者も患者もHappy・Happyであるマネジメントに変えていく必要がある.ホスピタリティマネジメントのエッセンスを明らかにした上で,円卓発想によるホスピタリティ人財育成の在り方を探る.

パーパスに基づいた組織マネジメントを目指して

著者: 石川賀代

ページ範囲:P.458 - P.463

Point
多くの課題が山積する中,既存の仕組みでは課題を解決できない時代背景にある.変化に強くイノベーションを生み出す組織となるためには,ICT基盤を活用したネットワーク型組織への移行が不可欠である.デジタル化が進むからこそ,人を中心としたマネジメントが求められている.

事務中核人材の効果的な育成を目指す新キャリアパスの挑戦

著者: 内藤優美 ,   小山修吾

ページ範囲:P.464 - P.469

Point
労働人口の減少局面で限られた働き手の中から次世代の中核人材を着実に育てるためには,選択と集中による重点的な投資とタレントマネジメントが重要である.愛仁会では,従来の総合職制度を換骨奪胎するとともに非管理職事務職員の働き方を3コースに区分して「魅力と実用性を備えたキャリアパス」の策定を目指した.

競争戦略としての人材育成

著者: 北島明佳

ページ範囲:P.470 - P.475

Point
元気会横浜病院は「人材への投資」を戦略の中心に据えている.一朝一夕に医療・介護の技術を身に付けることは難しい.地道な努力の継続により,人材育成が病院の独自性の源泉となり,地域で必要とされ続けるための競争戦略として機能する.

看護管理職からみた病院組織における多様性のマネジメント

著者: 松浦正子

ページ範囲:P.476 - P.480

Point
看護管理職からみた病院組織における多様性のマネジメントは,多様な人材の価値を最大限に生かし,医療サービスの質と効率を向上させる重要な要素である.組織文化の中で多様性を尊重することは,病院全体の成長と発展に貢献できる可能性を秘めている.

特別記事

—神野親子に聞く—「事業承継の舞台裏」

著者: 神野正博 ,   神野正隆

ページ範囲:P.481 - P.487

 昨年10月に開催された第64回全日本病院学会in 広島(大田泰正学会長/脳神経センター大田記念病院理事長)の学会テーマは「未来の子どもたちへ〜脱高齢ニッポン!〜」でした.若者たちへと世代交代を進め新陳代謝を図ることは病院界でも重要な課題となります.その中でも“事業承継”は多くの経営者が必ず一度は直面し,頭を悩ませることとなる問題の一つです.
 そこで編集室では,同学会の会期中に社会医療法人財団董仙会恵寿総合病院(図表1)の神野正博理事長および神野正隆理事長補佐のお二人にインタビューし,親子として事業承継に向かう心構えや準備,期待や展望などを伺いました.(本誌編集室)

連載 アーキテクチャー×マネジメント・113

松山赤十字病院

著者: 中山茂樹

ページ範囲:P.434 - P.439

■はじめに
 1913年に日本赤十字社愛媛支部病院として設立された松山赤十字病院は,「『人道』の赤十字精神に基づき,地域医療に貢献する」という基本理念の下,地域の医療機関と密接に連携し,次の5項目を目標に建替え工事を実施した1)
1.急性期高度専門医療への対応
2.救急医療体制の充実
3.地域医療支援体制の充実
4.環境に配慮したサステナブルな病院の建築
5.災害に強い病院
 2012年3月に基本計画をまとめ,2014年に着工,3期8年にわたる長い工事期間を経て,創立110年を迎えた2022年末に完成した(図1).
 新病院の建設に当たり,松山市民から愛され続ける病院であること,2001年の芸予地震を教訓に災害拠点病院であることを重要視し,さらにエネルギー自立と省CO2を満たした病院に生まれ変わった.

医療機関で起きる法的トラブルへの対処法・38

内部通報制度—適切な運用と留意点

著者: 有岡一大

ページ範囲:P.488 - P.490

■1 内部通報制度とは
 内部通報制度とは,事業者がその事業者内の不正を早期に発見し,その事業者と従業員を守ることを目的として,事業者内の不正行為に関する通報・相談を受け付け,調査・是正する制度です.
 公益通報者保護法により,従業員数(アルバイト,契約社員,派遣労働者も含みます)が300人を超える事業者には,内部通報制度の導入が義務付けられています★1.また,従業員数が300人以下の事業者は内部通報制度の導入が義務付けられてはいないものの,努力義務が課されています★2

ケースレポート 地域医療構想と病院・59

高齢患者割合と医療機能との関係性に関する検討

著者: 松田晋哉

ページ範囲:P.492 - P.498

■はじめに
 高齢化の進展は医療介護ニーズの複合化をもたらす.急性期入院医療を主に行うDPC病院においても高齢化への対応が求められるようになっている.具体的には,複数の慢性疾患を持った高齢患者への総合診療的な対応や,認知症高齢者・要介護高齢者へのADLケアの対応が必要となっている.筆者らはすでに,「重症度,医療・看護必要度」の情報を使って,B項目で評価されるADLの自立度の状況が,在宅への退院確率に有意な影響を持っていることを報告している1).しかし,中央社会保険医療協議会では,患者の状況などを評価するB項目について,急性期の医療ニーズに着目した評価体系とする観点から,その意義について疑問が出されるなど,急性期医療の現場における高齢化の実態とその影響について,客観的な情報が必要な状況となっている.
 このような厚生労働省による見直しは,地域医療構想において急性期から回復期への病床機能の転換が進んでいないことへの対策と考えることもできる.新たに検討が開始される2040年を目標年度とした地域医療構想の議論では,「回復期」の機能の再定義と名称の変更などが行われると予想されるが,7:1の看護配置基準の要件の見直しと新たに創設された地域包括医療病棟への対応は各構想区域での地域医療構想の検討に大きな影響を及ぼすことになるだろう.特に,高齢者の一次救急・二次救急を数多く受けている中小民間病院は,医師の働き方改革の影響も踏まえながら,自施設の機能について既存のデータを用いて再検討することが求められる.
 そこで,本稿では2020(令和2)年度のDPCデータを用いて,65歳以上高齢者のDPC入院症例について,その患者像を分析した筆者の研究を基に,各地域における病院の在り方を検討するための基礎資料とその考え方について説明し,次回以降の事例報告の内容を考えるための論点整理を行う.

臨床医が病院長になった日・6

上善は水のごとし—大学教授から市中の病院長に転じて

著者: 田妻進

ページ範囲:P.499 - P.500

 「臨床医が病院長になった日」というテーマでの原稿依頼,実は筆者の適性に些か躊躇いました.というのも医師としてのキャリアの大半(35年間)を大学病院で過ごしたので,一般的に理解されている“純粋な臨床医”とは異質な趣があって企画の趣旨に符合しないのではないかとの懸念があったからですが,エッセイということですので自らの足跡を振り返りながら現在までの病院長職における悪戦苦闘(?)の日々をご紹介させていただくことにいたしました.

--------------------

目次

ページ範囲:P.440 - P.441

Back Number

ページ範囲:P.501 - P.501

次号予告

ページ範囲:P.504 - P.504

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?