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文献詳細

雑誌文献

病院9巻1号

1953年07月発行

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温泉病陛に関する2〜3の問題(下)

著者: 伊藤久次1

所属機関: 1伊東温泉病院

ページ範囲:P.29 - P.34

文献概要

4.温泉病院の設備構造について
 新たに温泉病院を造営する場合には,先ずその温泉の量と質とを充分研究して,温泉を選ばねばならない。泉質泉量を無視し,温泉と名がつけば如何なる温泉も同様な効果があると考えて,同一規格で作つたり,温泉地であれば何処でも同様に温泉の得られる様に考えたりして土地を選んではならない。又温泉の質によつては長距離の引湯により,温泉の喪失のみならず,エマナチオンや硫化水素或は炭酸ガス等の有効成分を失い,或は塩分の析出沈澱を見たりすることも考えて配管に留意したい。源泉より直接の泉水を利用出来る様にしたい。高温のため水を割るが如きは厳に避けたい源泉,引湯管,浴槽等については,いずれ他日述べる機会があるであろう。
 温泉地は今日何処も開発せられ,地価は昂騰し広い土地を入手することは至難であるが,勿論土地の面積並びに地形は充分余裕のあることを理想とし,環境もよく局所気候もよい場所が好ましい。折角の靈泉も,交通の不便な所や気候不良な所では,大規模な温泉病院を設けても,利用者は少数となつて成立しない。然し交通不便な所は環境も清潔でない温泉地と化する危険が多く,所謂温泉気分を病室まで持込む様になるから,これも避けたい。温泉病院の所在地区は何処までも健全地区で,その温泉地の一つの中心として温泉病院が考えられる土地を望む。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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