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雑誌目次

雑誌文献

病院9巻2号

1953年08月発行

雑誌目次

特集 第3回 日本病院学会

総会演説抄録

著者: 塚本蝶子 ,   小西宏 ,   滝野賢一 ,   山田義智 ,   鈴木良 ,   田代英太郞 ,   船津雄三 ,   清水里都子 ,   熊谷千代丸 ,   桑本正雄 ,   武藤多作 ,   原素行 ,   真銅参太郞 ,   棚橋三郞 ,   神崎三益 ,   成內頴三郞 ,   守屋博 ,   関根正雄 ,   滝野賢一 ,   西野信司 ,   三谷登 ,   橋本寛敏 ,   田口和枝 ,   金子敏輔 ,   相沢貞 ,   谷向茂浚 ,   橋本寿三男 ,   横山憲史 ,   片山弘 ,   赤星一郞 ,   岩佐潔 ,   高橋元吉 ,   吉田幸雄 ,   権藤佳子 ,   戸田亨 ,   木佐木久 ,   竹沢その ,   鈴木竹子 ,   長岐佐武郞

ページ範囲:P.21 - P.32

1.病院の玄関にて
 不案内な病院内部を外来著に明るく案内し不安を除き余裕ある気持を与える。
 病気の正しい判断により患者の受診すべき科を誘導する。

總会印象記

著者: 小西宏

ページ範囲:P.33 - P.35

 第3回日本病院学会総会は,暦より少し早くやりて来た梅雨煙る6月7日午前9時より,東大小講堂に於て開催された。第1回の病院管理研修所,第2回の湯島聖堂に次いで今回は愈々学問の本山に乗込んだ訳で,かかる会場の選定については原素行会長以下スタツフの方々の非常な御尽力があつたものと感謝しなければならない。この様な会場にふさわしく今年は内容も一段と充実して来て名実共に学会らしい体裁と雰囲気を備えて来た。殊に,昨年の第2回総会の際当時の橋本会長より,本学会は単に院長許りでなく,病院に働く凡ゆる職種の人々が一堂に会して夫々の専門分野のことについて隔意なく話合える学会にしたい,と述べられたことが相当程度果された様に思われる。
 即ち,演説のテーマは病院の種々の分野を網羅し而も夫々の担当者からじかに述べられたので一層感銘を深うした次第である。この点についても,原会長以下計画に当られた方々の周到な配慮に基づく処が多かつたのであろう。斯様に多数の各専門分野の人々が和やかな雰囲気で討論できるという学会は,他に類のないものであり,今や本学会の特徴ともなつて来た。

会長挨拶

病院ルネツサンスの開幕へ

著者: 原素行

ページ範囲:P.2 - P.2

 今回の大会に際しましては各病院協会,各病院,及び病院管理研修所の絶大なる御支援によりまして多彩な演題を得ましてこのように盛大な演説会を催しましたことを深く感謝するのであります。東,島內兩博士の特別講演の他,曾田局長に御帰朝早々の最も新らしい欧州の現況についてお話しいただくことに厚く御礼申上げます。
 この学会は申すまでもなく病院管理に関する幾多の方面を研究致しまして,我国における病院活動の近代化を計つて,そして病院の向上をもつて人類又は社会に寄与せんとする研究会であります。殊に病院の近代社会における在り方の筋を通すために管理学の発達を目的として今日に至つたものであります。初め厚生省病院管理研修所というポストグラジユエートのゴースができまして,更に,東北大学医学部に病院管理講座というアンダーグラジユエートコースが開設され本学会のゆき方を世に問うことになつたのであります。そして我国の病院業務の進歩のために黎明期を迎えたことになつたのであります。この学会は非常に珍らしいものでありますし,従来の医学方面の学会からみますと型破りのものでありますが,このような学会が生れましたこと自体が,日本の諸病院の犯した多年の過失,及び病院に対する世人の常識を訂正せんとする一つの運動と思われます。

特別講演

第8回国際病院会議(ロンドン)に出席して

著者: 曾田長宗

ページ範囲:P.3 - P.13

前置き
 今回世界保健機関WHOの第6回総会に出席致すために,5月5日から23日迄ジユネーヴにおり,引続いて翌週の5月25日から30日迄国際病院連盟International Hospital Federationの第8回総会がロンドンで開催されたので,幸い出張しておりました出先のジユネーヴで追加出張の命令を受けましたので,そちらの方にも出てまいりました。戴冠式も2日後に迫つておりましたが直ちにロンドンを立ち,途中ローマで3日ばかりイタリーの事情を聞かしてもらつたり見せてもらつたりして来ました。そのようなわけで,こちらに到着致しましたのは一昨日の晩の11時でございますので,今晩の11時にならないと48時間はすぎないのであります。前に東龍太郞先生から「どうもやはり飛行機の旅というのは帰つてきてから二日位はボヤボヤしておつてすつきりしないね」ということを承りました。
 今,会長が私も帰つて後48時間たつておらないと申されましたが,或は皆きんにホツトニユースという意味でおつしやつたのかも知れませんが,私の解釈では48時間以内の話でありますから相当トンチンカンな話をしても御容赦を願いたいという,御親切な意味であると考えさせて頂きたいと思うわけであります。

血液銀行

著者: 東陽一

ページ範囲:P.15 - P.19

緒言
 1937年アメリカで始めて開かれた血液銀行は,世界大戦という大きな拍車の力もあつて,急激に普及し,現在では全世界に拡がつているといつてよい。我国でも一昨年(昭和26年——1951)頃から,血液銀行と称するものが開業され初めたが,現在まだ全国には十指に数える程しかない。しかし血液銀行という名称は,物珍しさも手伝つてはいるが,既に一般の人々の耳には大分入つているようであり,又是非とも速かに全国的に拡大せねばならない。その意味からも昨年設立された日本血液銀行運営研究会の活動に大きな期待がもたれる。又,病院協会がこの問題を取上げられたことは病院管理の上からも当然のことであるが,血液銀行普及に強い推進力を与えられたものと考える。そしてその機会を私に与えられたことを会長並に会員諸君に深く感謝するものである。

病院における合理性と人間性

著者: 島內武文

ページ範囲:P.37 - P.44

病院管理の精神
 病院管理に関する勉強を始めましてから,まだ僅かしかたつておりませんのに,この様な大任をいただきまして申上げる自信もございませんが,何かお役にたつことがございましたらと思いまして推参致しました。こういう機会を与えていただきました会長及び会員の皆さまにお礼申上げます。
 先日医学会にまいりまして友人に会いましたら「何をやつているんだ」と聞くので「病院管理というものをやつているんだ」といいますと「ああ例のアメリカ式か」といつて一笑に付されました。戦後いろいろ病院管理について改革がありましたが,ただアメリカ式にやりさえすればいいと誤解され,いろいろ摩擦も起りました。そのようなことから,この際充分に病院管理というものの精神,考え方を理解しなければいけないと思います。

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聖路加国際病院旧館修築落成なる

著者: 橋本寛敏

ページ範囲:P.46 - P.49

 聖路加国際病院は昭和20年9月米軍によつて接収されていたが,本年2月木造の旧館が返還され,橋本院長以下病院スタツフはあげてこの改築を急ぎ,6月15日修築落成感謝式をあげた。現状ではまだ不十分であるが初代院長Teusler以来伝統的にすぐれた病院管理をもつて特色を発揮してきた聖路加病院がその機能を発揮し,殊に日本の生活に馴れない外国人のための医療を行う国際病院としての役目を果すことが出来るようになつたことは喜ばしい。以下は感謝式における橋本院長挨拶である。

日本病院協会だより

ページ範囲:P.51 - P.53

昭和28年度總会及び学会大会に関する報告
A 日本病院学会大会 日時6月7日 於東大医学部小講堂 出席者 160名
1.演題及び講演者 病院の玄関,都立広尾病院,塚本蝶子氏他17題(プログラムの通り,尚14,18,19番は中止)

病院関係人事消息

ページ範囲:P.54 - P.54

◇平福 一郎氏(東大助教授)東大を辞任された氏は関東逓信病院研究所長に就任。
◇久留 勝氏(金大教授)金大医学部附属病院長に就任。

「病院」創刊5年目に入る会

著者:

ページ範囲:P.55 - P.56

 雑誌「病院」が創刊されて満4年を経過したので,そのお祝を兼ねて今後の発展を期する「病院創刊5年を迎えるの会」が6月29日医学書院で開かれた。
 当日は「病院」の編集委員をはじめ,創刊当時の産婆役当時の厚生省医務局長東竜太郎博士や,「病院」と相前後として発足した病院管理学のメツカ「厚生省病院管理研修所」から坂口所長等をはじめ,厚生省曾田医務局長等創刊当時からの関係者が参集,一夕の歓を尽した。

あとがき

著者: 小西

ページ範囲:P.56 - P.56

○本号は学会特集号として,先般の第3回日本病院学会総会記事の集録を中心に編集した。学会解散のあと,学会に出席された地方病院協会の幹部の方々と本誌編集委員とで,「学会」と雑誌「病院」を爼上に上げて座談会を開催した。学会に対しては,その健全な発展振りは満場一致で認める処となつたが,日本病院協会に引ずられて個人会員制度をもたないことは種々の点に於て不便であり,結局今後学会が順調な発展を遂げて行く上に大きな妨げになるので早急に善処すべきだ,という全員の声であつた。病院に職場をもつ人,病院に関係のある人は固より病院問題に関心をもつ人人に広く呼びかけ,多くの知慧をもち合つて日本の病院の改善を計つて行かなければならないであろう。「病院」に対してもいろいろ註文をつけられたが,要するに,病院の誰でもが興味をもつて気樂に読める雑誌に,という結論に薄着いた様である。病院に関するいろいろなニユースの紹介という意見も多数出たので,できる丈御希望に副う様努力したいと考えている。その際地方の動きについては地方から事の大小に拘らずネタを送つて頂けるとまことに有難い。
○本誌に寄せられた原稿は,建設的な内容のものであればどしどしとり上げることにしている。従つて或問題について特定の人の意見や主張だけに偏るという傾向はなるべく排除して行く方針である。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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