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雑誌目次

雑誌文献

病院9巻3号

1953年09月発行

雑誌目次

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メキシコ雜感

著者: 東龍太郞

ページ範囲:P.2 - P.5

 去る4月にメキシコ(mexicoと書いて,メヒコと発音するのが正しいらしいが,ここでは慣用の英語読みに従つてメキシコとする)へ行つて来た。戦後7回目の海外旅行ともなれば,洋行ずれがしたとでもいうのか,こんなことではいけないとは思いながら,メキシコについて充分な予備知識も持たずに,それこそ行き当りばつたりの出たとこ勝負で,文字通りぶらりと出かけて来た。そしてメキシコへ行つたとはいうものの,実際に見聞したのはメキシコ市(Mexico City)だけに過ぎない。それも現地へ着いてはじめて,メキシコ市とはこんな所であつたのか,と感心したり驚いたり,又時には多少軽蔑したりしたという心細さであるから,ここに書くことにも思い違いや聞き違いがあるかも知れない。予めお断りしておく。
 さて,メキシコ市とは通称であつて,正しくは,おなじみのWashington D. C.(District of Columbia)と同工異曲のMexico D. F.(Dis-tricto Federal)であるらしい。海抜2,300米に近い高原に位しているから,気圧は600mmHg以下,従つて普通の釜では御飯はよく炊けないそうな,急いで階段を馳け上ると息切れがするのも,あながち歳のせいや気のせいばかりではないと思う。フツトボールのキツクが平地よりも5〜10米もよく伸びるといわれ,遠征して来るテニス選手が実力を発揮し難いのも,皆この稀薄な空気のお蔭である。

医療に関する調査

著者: 小澤龍

ページ範囲:P.7 - P.8

 医療の実態を見るために従来色々な調査が行われて来たが,これを大別すると一つは患者の側からの調査であり,一つは病院・診療所側の調査である。
 患者側の調査は全国の1800万世帯を一齊にやることが困難であるから,勢い標本調査を行つて全国推計をすることになるが,今日迄厚生省の調査し得た資料のうち1948〜50年の3ヵ年に亘つて行つたものから,興味ある2,3の結果を紹介してみよう。年によつて客体の数は違うが,層別無作為に抽出した約3万世帯15万人の調査結果で,夏,冬,秋と季節を変え,夫々1ヵ月間調査したものである。

病院管理当面の二三の問題

著者: 金子敏輔

ページ範囲:P.9 - P.12

1.病歴の標準化に就て
 病院管理という言葉は余りにも巾の広い科目である。恐らく此課題程医学のあらゆる分野,人間の生活状態,社会,経済,政治,行政,等に関聯の多いものはあるまい。而し純然たる病院そのものの経営管理から考察しなければならぬ問題が,吾々の前に数多あり改善の望まれる点の多いことはいう迄もない。日本に於ける病院管理は一応理論的概念は認識されてきたがこれから実施しなければならぬ問題は多数ある。而し現段階では未だ吾々は基礎的な病院管理の問題に相当直面している。私はこれらの基礎的に見た当面の問題に就て二三論じて見たい。

病院協会の在り方について

著者: 村上実

ページ範囲:P.13 - P.15

 本誌昨年8月号の卷頭に『病院協会の新幹部に望む』と題する論文が掲載された,サインが記されていないので何人の提唱か知るよしもないが,その論述の中に次のようなことが記されてあつた。
『幹部の陣容についても一考を要する。新斡部は創立準備役員そのままの居すわりのようであるが,東京中心,しかも院長ばかりの理事会では思うように活動もできまい。もつとも理事会は企画機関であると言うならば,事務当局の奮起が望みたい。幸にStaffの頭数だけ充分にあることだから,若返つて恥しくないだけの活動をしてもらいたい』『会の規模についても,単に病院代表の院長のみを会員とするのでなくて,廣く建築家,会計士,役人等病院に関心をもつている人々を,個人会員として吸收するよう,この点アメリカ病院協会を見習つた方がよいと思う』

結核療養所における歯科設置について

著者: 山崎季男

ページ範囲:P.27 - P.29

 国立療養所日野荘で歯科を設置したのは,昭和27年8月1日である。それから今日まで八ヵ月余を経過したので報告を兼ねいささか所見を述べる次第である。
 従来小規模の国立療養所(300病床以下)にあつては,定員の関係かその理由は知らないが歯科のないまま運営されていた。そして新しく歯科を設置することについては意図されていなかつたように思われる。

血液銀行開設を顧みて—国立東京第一病院の場合

著者: 鳥居有人

ページ範囲:P.31 - P.36

 2,3年前迄は「血液銀行」という言葉が非常に物珍らしく感ぜられたが,現在は既に全国に10数ヵ所を算し,諸所に準備中の声を聞くに至つた。また今後設立しようと考えて居られる病院も多いであろうが資金,規模,運営などの点で疑問を抱いておられることと思う。私達は国立東京第一病院においてささやかながら血液銀行を開設し1年近く運営して来たのでその経験を発表し,今後開設されようとする方々の参考にもと筆をとつた次第である。
 血液銀行の主旨は"迅速,安全に多量の輸血を行う"ことであるが,東京においては輸血協会の制度が発達し電話一本で30分位の内に供血者が到着するので,一刻を争う急性大出血を除き時間的には大抵の場合,間に合う状態である。しかし遺憾ながら其の供血者の質においては相当劣る現状である。即ち厚生省の告示にあるGB1052以上の者は極く僅かであり,梅毒反応もその検査間隔が長く,また稀ではあるが型判定の誤りがあり,更に惡質なものとしては他人名義のカードを持参する者さえ有るとの由で,安全に輸血を実施するという条件には適していない。地方の都市においては供血者を直ちに用立てることが非常に困難の為,"迅速"という点においても満足出来ない現状の様である。私達の病院においても血液銀行の必要性を痛感し,殊に外科方面において手術時の保存血輸血の要望が大きかつたので昨年始めより設立の準備を開始した。

病院関係人事消息

ページ範囲:P.36 - P.36

 ◇三浦岱榮氏(桜町病院長)慶大医学部教授に就任し,精神科を担当。
 ◇小林 隆美氏(国立広島病院長)国立病院の療養所転換により国立療養所広島病院長となる。

病院事務(1)

著者: 三沢仁

ページ範囲:P.37 - P.39

 私はDrではありません。産業能率短期大学という聞いたことのない大学の講師をやるカタワラ,ヨソサマの組織体の経営管理の能率をあげるシゴトのお手伝いをやつています。病院関係のシゴトとしては,大分まえから厚生省の病院管理研修所の講師として「事務能率」関係のお話しをしております。また,そうした関係から,昨年の12月から半年ほど国立東京第一病院の事務関係のシゴトをやらせて頂きました。
 こうしたシゴトのあいまに,教わつたり考えたりしたコトを,ここでおしやべりさせてもらおうと思います。いわゆるoffice management (事務所処理)というモノを,病院にあてはめていきたいと思うのです。なにかの御参考になれば幸いです。

綜合病院の設計と構造(10)

著者: 小川健比子

ページ範囲:P.41 - P.43

第11章 サービス部 ハウスキーピング設備 Hausekeeping Facilitis(続)
ハウスキーパー室と倉庫
Hausekeepers Office and Stares
 ハウスキーパー室は地下室で中央リネン室(central linen room)の附近がよい。院内電話付机と,ハウスキーピングレコード用のフアイルを置く場所を,準備する。
 ハウスキーピング材料用の棚を造り,それを小窓(wicket)を通すか,又はカウンターの上から差出す。鍵操作方式のカード・フアイルと,鍵のかかる架とを,この室内に置く。或る場合には主任技術者室にも鍵操作方式を置く方が最もよい。

Dr. Moriya's Recordtape

著者: 守屋博

ページ範囲:P.45 - P.47

30.病院と解剖
 病院の医療が診療所のそれと異るのはその科学性にある。診断治療の科学性は常に自己反省に基礎をおかなければならぬ。その意味において病院における自己反省は1つはC.P.Cであり他は剖検である。
 現代医学をもつてしても,その診断は100%と云うにはほど遠い。事実剖検による診断の的中率は,60%を出ぬ様である。若し剖検をやらぬならば皆100%だと思つているにちがいない。現に開業以来10,000例,1例の誤診もないとほこつている先生がいる。

あとがき

著者: 小西

ページ範囲:P.55 - P.55

 冗長な梅雨に続いて相次ぎ来襲した颱風により,今夏は九州を始め各地に痛ましい水害を惹起した。多少とも被害をうけられた病院が少くなかつた様である。8月半ばに到つて漸く夏らしくなつたが,残暑は一入厳しそうだ。
 出版界には夏枯れというコトバがあるが,本誌はそれに寧ろ逆行して御覧の通りのハチ切れる様な内容となつた。お蔭で「あとがき」のスペースがなくなつたのは嬉しい非鳴だ。

座談会

雜誌「病院」・学会・病院管理えとせとら—1953年6月8日・学会の日の夜

著者: 橋本寿三男 ,   守屋博 ,   島內武文 ,   武藤多作 ,   橋本寛敏 ,   一見赴夫 ,   原素行 ,   吉田幸雄 ,   小西宏 ,   金子敏輔 ,   三谷登 ,   尾村偉久

ページ範囲:P.16 - P.25

——「病院」を俎にのせる——
 橋本(寿) 最初に「病院」に対する注文をしていただいて,それから今同の学会に関する座談会ということにしては……。
 守屋 雑誌「病院」を爼にのせるということですね。

インターンの頁

第14回医師國家試驗の合否決定会議

ページ範囲:P.48 - P.55

昭和28年6月20日(土)午前9,30,厚生省3階会議室,出席者15名(下記氏名参照)
受験3447名中,3090名,(合格率89.6%)の合格者を決定。同25日公布された。学校別合格第1表の通り。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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