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血液銀行開設を顧みて—国立東京第一病院の場合
著者: 鳥居有人1
所属機関: 1国立東京第一病院
ページ範囲:P.31 - P.36
文献購入ページに移動血液銀行の主旨は"迅速,安全に多量の輸血を行う"ことであるが,東京においては輸血協会の制度が発達し電話一本で30分位の内に供血者が到着するので,一刻を争う急性大出血を除き時間的には大抵の場合,間に合う状態である。しかし遺憾ながら其の供血者の質においては相当劣る現状である。即ち厚生省の告示にあるGB1052以上の者は極く僅かであり,梅毒反応もその検査間隔が長く,また稀ではあるが型判定の誤りがあり,更に惡質なものとしては他人名義のカードを持参する者さえ有るとの由で,安全に輸血を実施するという条件には適していない。地方の都市においては供血者を直ちに用立てることが非常に困難の為,"迅速"という点においても満足出来ない現状の様である。私達の病院においても血液銀行の必要性を痛感し,殊に外科方面において手術時の保存血輸血の要望が大きかつたので昨年始めより設立の準備を開始した。
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