icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

病院9巻5号

1953年11月発行

雑誌目次

特集 病院内規の研究

病院内規特集について

著者: 編集委員会

ページ範囲:P.2 - P.3

 近代病院は組織である。診療所の様な手道具ではない。手道具なら,つかい手の自由に勝手にふりまわす事が出来る。組織は機械である。機械は勝手にふりまわす事はできぬが,ボタン一つおせば自働的にうごいてくれる。機械の様なかおをして,一々手でうごかさなければならぬ様な機械もあるが,それはまずい機械である。機械も複雑になるとどこに何があるか,どこをおせばよいか,わからぬものがある。なかには何につかう機械か誰も知らぬものもある。古い職工がカンで動かしているので,新しい職工は,馴れるまでに3年もかかると云うことがある。
 この様な複雑な機械—組織に説明書をつけて機械が勝手にうごかぬ様に誰でも樂に機械が動かせる様にしたのが病院内規である。

国立病院業務基準

著者: 厚生省医務局

ページ範囲:P.4 - P.8

1.職務
院長,副院長
1101 院長(副院長)は,常時,病院管理業務の遂行にあたるものとする。
庶務課長
1211 庶務課の長を庶務課長という。

國立病院業務基準解説

著者: 厚生省医務局

ページ範囲:P.9 - P.24

1.国立病院業務基準の目的
国立病院の使命は,厚生省設置法(昭和24年法律第151号)に示されたように適正な「医療を行い,あわせて医療の向上に寄与する」ことにある(同法第21条第1項)が,その方法についてはふれていない。さきに示した国立病院業務基準(以下「基準」という。)は,この使命達成の手段を明らかにするために定められたものであつてその手段は,次の3項に要約される。
1 能率的運営によつて,わが国医療機関の模範となること。2 専門医の養成,インターンの教育,看護婦及び医療技術員の教育等を担当すること。3 診療又は研究施設の適正なる公開方式の完成。

国立東京第一病院内規

著者: 国立東京第一病院

ページ範囲:P.25 - P.49

管理
防火避難要領
当院に於ける火災予防並に避難救護に関してはこの要領により実施する。
1.目的 防火避難要領の同的はあくまで火災を未然に防止することであり万一出火の場合は,この要領に基く臨機応変の処置,敏速果敢な防火活動並に秩序整然たる避難救護によつて人と物の被害を最少限度に止め得るよう平常からその組織を確立し,防火施設を整備すると共に,火災予防について不断の注意を喚起し,且つ防火と避難についての知識と訓練を衆知徹底することにある。

病院内規について(1)

著者: 瀧野賢一

ページ範囲:P.51 - P.53

 病院内規は病院の活動を円滑にする為のものである。病院の運営が安定して一定の軌道を走るような状況になれば固定した内規があるのがよい。しかし病院が変換期にある場合にはその運営も日日,状況に即応して変化するので固定した内規をつくることが却つて病院運営の能率を惡くすることがある。それで我々の病院では,毎月,病院管理協議会を開いて,次々に内規をつくり或は改変している。但し一度定めた内規を協議会を経ないで何時の間にか変更するというようなことはしない。この協議会には院長,事務長,管理婦長の他に,各科医長,幹部医員,薬局長,主任栄養士,社会事業部主任及び事務系統の各主任が出席する。
 その他,看護業務に関する事項は実際的なこまかい事が多いので毎週1回,管理婦長,病棟主任婦長,外来婦長等が集つて協議し記録をとる。そのうち看護業務についての内規とするものは院長の承認を得て病院管理協議会に於て一般に伝達される。

病院内規

著者: 仙臺市立病院

ページ範囲:P.55 - P.56

患者心得
1.入院に際して
 1.入院許可になりましたら寝具及び着替のきもの,タオル2,3本,食事の時の御箸,洗面器その他上草履等お持ち下さい。
 2.入院証は入院と同時に病棟,看護婦室に御提出下さい。

国立病院業務運営参考資料集(上)

著者: 厚生省医務局國立病院課

ページ範囲:P.57 - P.76

はしがき
 雑誌「病院」が発刊され,吾国の病院管理の指導的役割を果して来て既に4年を越え,又病院管理研修所を中心として,諸外国の病院管理学を初め,国内のその方面の指導者の抱く病院管理の知識を普及し始めて5年以上となつたが,これらの普及の努力が,国内の病院にどんな風に効果を表わしてきているかは,色々な点で測定されると思うけれども,ここではその一つの参考として,各国立病院が,病院管理上有効であるとして,実行している項目を,病院別に蒐集したので,それを項目別に分類して掲載し,以て終戦時の旧式の,且全く病院の観念からは別格であつた陸海軍病院が,やはり病院管理の知識を基礎にして,それぞれ工夫して,病院として進歩して来ている点を認識して載きたいと思う。尤も国立病院である為,他の形体の病院から考えれば,国の会計法規を始め,複雑な諸法規の制約下にある運営方式が,少しも病院管理能率の向上に役に立たず,寧ろ妨害になる様な点も多くあつて,参考にならない点もあるかと思われるが,その点は国立の止むを得ざるゆえんと御了解願い取捨撰択して御利用願いたいと思う。

--------------------

病院の窓口・電話口

著者: 今村榮一

ページ範囲:P.77 - P.80

 病院がよい評判を得るということは,単に病院の利益であるばかりでなく,社会全般にとつても為になることと思う。病院の信用が高まることによつて,病院自体の向上がうながされ,又社会は安心して病院から福祉を受けることができるようになる。
 病院の評判となる対象にはいろいろある。良い医師がいて良い診療が行われているとか,すぐれた看護婦がいて安心して看護をうけられるとか,設備がよく清潔で気持よく入院できるとか,職員が親切であるとか,いくらでも挙げることはできよう。こうしたいくつかのものが集まつて病院の品格を作るものと思われる。逆に何かひとつ不十分な点があつても良い病院とは言われなくなる。

消毒・洗濯處理に伴う経費計算

著者: 国立姫路病院 ,   橋本正二

ページ範囲:P.81 - P.84

 結核患者を收容する病院において,患者に供用する被服,寝具類の消毒業務は病院管理上,重要な過程の一つであつて,単に供用品のみならず,在院中に使用した患者自体の所有する被服,寝具についても施設が消毒の便宜を与えることが最終的には望ましいことと考えられる。
 今日,山村地域において結核患者をもつ家庭が行つている消毒方法や,患者死亡後被服,寝具を焼却処分することをきくが,これらをも考え合せて,消毒処理には幾多の課題が含まれていると思う。又,結核,一般疾病の区分による入院料算定基礎にも考慮の余地があるのではないだろうか。

生死の秘境を探求する米國衞生研究本部

著者: 森島侃一郎

ページ範囲:P.85 - P.86

 生死の秘境を探究する目的で米国華府近郊Bethesdaに14階建の煉瓦造りで外部は自黒で塗装された綜合研究所が竣工し,之れに接して附属諸建物も略落成し本年春に患者第1号が入所した.本研究所National Institute of Healthと称し500床の病院が附設されている。
 此写真では此建築の病院領域での各階に於ける患者用日光浴室の部面を其前面に示している。此本部補助作業用建物が左方前庭中に見られている。

病院管理討論会—第2回補習講座より

著者: 守屋博 ,   中山栄之助 ,   島內武文 ,   小西宏 ,   吉田幸雄

ページ範囲:P.87 - P.91

 病院管理研修所の第2回補習講座は東北・北海道地区を対象とし山形市において8月に実施されたが,その討論会において活溌な意見の交換が行われた。興味ある問題もあるのでその概要を御紹介する。講師側としては島內東北大学教授,中山新潟大学教授,吉田山形県衞生部長,小西研修所員等であり,司会は守屋研修所主事がおこなつた。文中○印は主なる発言であるが,都合上氏名を省略する。

病院事務管理(3)—組織のはなし(2)

著者: 三沢仁

ページ範囲:P.93 - P.95

例外の原理
 先月おはなししたように「上級の管理者は日常のシゴトにクビをつつこまず,高級な判断力や独創力を働かすようなシゴトのタメに,手をあけて待つているべきだ」という一つの原理ができている。これを「例外の原理」という。要するに「その地位にふさわしいシゴトをせよ」というコトである。
 だから,上の人が「どうも雑用が多くて忙しくて困る」となどいうのは,ホメたコトではない。本当の雑用なら下の者に委せるべきだし,院長のすべき雑用なら雑用などといつた言い方をすべきでない。雑用でなくて本職なんだから。

病院関係人事消息

ページ範囲:P.96 - P.96

 ◇片桐 主一氏 (弘前大教授)弘前大学医学部附属病院長,同学部附属看護学校長愼哲夫氏が併任を解除されたので,氏が後任病院長と看護学校長に併任された。
 ◇佐野 保氏 (東北大教授)東北大学医学部附属病院長に併任。

Dr. Moriya's Recordtape

著者: 守屋博

ページ範囲:P.97 - P.99

(33)医師の勤務時間
 医師の同窓会等でいつも出る話題は,病院に勤めている医師がいつまでも貧乏しているのに,開業している医師がいづれも何となく裕福である事である。これを云い出すと,開業医側では常に病院医は8時間勤務で,それもその間に本を読む暇があるのに開業医は早朝から夜中まで宅診往診で,云うなれば24時間勤務だから3倍位いもうかるのはあたりまえだと云う事である。
 現在の健保点数に含まれる医師の技術料は医師の生活費を24年度調査による関業医の診療実績で割つたものだそうだが,そうだとすれば24時間分の診療実績をあげねば適正な生活費が得られぬと云う事になる。即ち医師のノルマは現在の開業医の勤務時間に釘づけされると云う事になる。能力労働者が8時間働いて一人前の月給をもらうのはあたり前であつて,若しその内に16時間働く人がいてもそれは2人分の月給をもらうべきであつて,16時間を一人前にして,8時間を半人前にすべきではない。

病院管理研修所だより

著者: 岩佐

ページ範囲:P.100 - P.101

 久し振りに研修所だよりを申します。先ず最初に所員の移動からお伝えしましよう。坂口所長,守屋主事のもとで教務主任として活躍されていた島内武文技官が26年7月10日からアメリカに渡りカリホルニヤ大学で病院管理学を修め27年8月26日帰朝されて以来我国に於ける最新の知識の持主として当研修所の大きな誇でありましたが,その後1年を経ない28年4月1日附を以て東北大学医学部の病院管理学担当教授に転出されたことは大方御案内のことと思います。このことは我国病院管理学の発展史上劃期的出来ごととして御同慶に耐えませんが,一方当研修所としては一沫の寂しさを残したのであります。
 島内技官の転出と時を同じくしまして厚生省の医務課の技官で研修所開所以来兼任所員でありましたがその後病気で休職していた岩佐潔技官が専任所員として復職して来ました。ついで5月16日には厚生省の国立病院課で国立病院の診療看護の関係事務を担当していた小西宏技官が島内技官の後任として当研修所の所員兼教務主任に転任して来ました。小西技官はこれより先27年10月29日より病院管理学をテーマとしてWHOのフエローでアメリカ3ヵ月,英国1ヵ月更に帰路ヨーロツパ諸国を巡つて28年3月12日に帰朝したばかりで,再び当研修所に新知識を注入すると共に我国病院の実情にも通じているので今後の活躍が期待されるわけです。

病院設備協會設立について

著者: 病院設備協会

ページ範囲:P.102 - P.103

 医学の発達,医療技術の進歩に伴い近代に於ては病院が医療の中核をなすに到りました。病院は近代医療に必要な種々の器械装置や専門家を集めて診療に当る許りでなく病気の回復に必要な環境を整えることが必要で,病院の規模や構造は漸次大且復雑化して来ました。かくて今や病院経営の能率化,合理化のために近代的病院管理方式が我が国の病院にとりいれられつつあります。
 病院の能率化,合理化を図るためには一定度の機械化が是非必要で,それには先づ設備の改善から始められなければなりません。併し従来我が国には病院設備について何らの規格も標準もなく野放し状態にありましたので使用者である病院では病院設備に関する認識が必ずしも充分でなく,製品の選定に当つても取捨選択に迷う場合が多く何らかの調整機関の出現が要望せられていたのであります。そこで今般病院設備に関心を有せられる同志を糾合し病院設備について互いに研究をし,改善を重ね,よいものを博く普及して我が国病院の近代化を促進しようという目的で「病院設備協会」を設立することとなりました。この趣旨に賛同せられる方々の積極的な御参加を期待して止みません。

日本病院協会だより

ページ範囲:P.104 - P.111

1.入院料是正について
 予て,報告した通り,去る2月5日及び3月11日の2回に亘り11団体(新たに北日本県立病院協議会が参加)の協議会を開催して厚生大臣及び関係方面に陳情し,入院料是正の早急実現を強力に押し進めて来たが,去る11日11団体代表者が,日本医師会当局と懇談の結果,日医も漸く協調する事に諒解したので日医も加え改めて12団体を以て3月25日第3回入院料是正協議会を開催して,更に強力に具体的運動を展開する方針に決定した。
 別紙資料は厚生省原価計算方式に基き作成した協会案である。

あとがき

著者: 小西

ページ範囲:P.112 - P.112

○今年の気象異変も颱風13号をもつてどうやら納まりそうであるが,水害と凶作の置土産のために折角の天高肥馬の好季も安閑とは樂しめない。併し書店の店頭には数多の書籍雑誌がけんらんたる花を咲かせ読書慾をあおつて居り,長夜の慰めにはこと欠かぬ様である。
○本号は,特集の第3回目として病院内規をとりあげ,併せて今年に於ける増大号とした。病院管理が我が国で最初にとり上げられたのは1948年の秋,国立病院療養所の院長,所長に対する講習会であつたから,今から丁度5年前になる。

病院長プロフイル・6

聖路加国際病院長橋本寬敏氏——「租界病院」に育てた新しい精神伝統を守つた功績は大−-

ページ範囲:P.92 - P.92

 病院のあり方も戦後随分変つた様である。総婦長制,完全給食,中央検査室,社会事業部,インターン制度,こんなものを聖ロカ病院は大昔からやつていたのである。それもその筈で50年前米人宣教医師のトイスラー博士の創めた病院は日本の習慣や,人情を無視して純米国式病院を東京の真中におつたてたのであるから。
 しかし,聖路加システムは,決して日本の医学界に根をおろしはしなかつた。あまりに根強い大学病院流は聖ロカ病院を単なる離島か,租界としか見なかつた。それには当時の病院スタツフの同システムに対する理解と,自信を欠いでいたからである。トイスラーから与えられたものを,単に表面的に真似するだけで,真の意味を理解しようとせず,従つてこれを日本の医界に積極的にインタープレートしようとする人がいなかつたのである。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?