文献詳細
手術手技
文献概要
膀胱の一部分をその全層にわたつて切除するのを膀胱の部分切除術と称している。この膀胱部分切除術の対象となる疾患は,膀胱腫瘍,神経因性膀胱群中の無緊張膀胱(atonic bladder),膀胱血管腫,間質性膀胱炎(Hunner氏潰瘍)の特殊の例,膀胱憩室などが挙げられているが,これらのうち実際には膀胱腫瘍に対して行なわれる場合が多いので,膀胱腫瘍に対する膀胱部分切除術について述べることにする。
ところで,膀胱腫瘍に対してはじめて膀胱部分切除術を施行したのはNicolich12)(1913)であるが,創感染,尿瘻形成などの問題でその後あまり行なわれなかつたが,今次大戦後になつて再び盛んに行なわれるようになつた。その理由は,本術式ではその全摘除術と異なり,手術死亡率が非常に低く,かつ自然排尿が可能であるという利点があること,膀胱全摘除術の遠隔成績がよくないこと,最近の泌尿器外科学の進歩,とくに化学療法,麻酔の発達により,膀胱の広範囲の切除が安全になつて来たことなどによるものと思われる。
ところで,膀胱腫瘍に対してはじめて膀胱部分切除術を施行したのはNicolich12)(1913)であるが,創感染,尿瘻形成などの問題でその後あまり行なわれなかつたが,今次大戦後になつて再び盛んに行なわれるようになつた。その理由は,本術式ではその全摘除術と異なり,手術死亡率が非常に低く,かつ自然排尿が可能であるという利点があること,膀胱全摘除術の遠隔成績がよくないこと,最近の泌尿器外科学の進歩,とくに化学療法,麻酔の発達により,膀胱の広範囲の切除が安全になつて来たことなどによるものと思われる。
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