文献詳細
原著
興味ある経過を示した小児膀胱前立腺結石の1例
著者: 鮫島博12 松元敏彦3
所属機関: 1福岡県立朝倉病院泌尿器科 2久留米大学医学部 3久留米大学医学部泌尿器科教室
ページ範囲:P.959 - P.962
文献概要
近年小児泌尿器科疾患に対する認識がたかまり,この方面の研究は著しい発展をとげつつあつて,その統計的な観察も伊藤,菅原ら,児王の諸氏をはじめ多くの教室で発表されているところである。そして小児泌尿器科疾患の主流をなすものは奇形,炎症,夜尿症を含む機能障碍の3者で,結石症はLattimer (1954)は0.6%に過ぎないと述べ,また本邦報告でも1〜2%に過ぎない。また稲田(1955)は尿石症患者の全国的実態調査を行ない,10才以下の患者は3.5%にすぎなかつたことを報告しており,尿石症患者の中でも10才以下の小児の占める割合ははなはだ少ないものであることを示している。
著者は最近興味ある経過をたどつた5才男児の膀胱前立腺結石の1例を経験したのであるが,本邦における諸統計をみても小児における前立腺結石は皆無であり,僅かにSchonlebe (1956)が3才男児の膀胱前立腺結石症例を報告しているに過ぎないのでここに報告する。
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