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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科21巻12号

1967年12月発行

手術手技

私共の行なつている根治的膀胱全摘除術

著者: 宍戸仙太郎1 鈴木騏一1 杉田篤生1 加藤正和1 小野寺豊1 菅原奎二1 宮田宏洋1

所属機関: 1東北大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.1013 - P.1019

文献概要

I.緒言
 膀胱癌は他臓器の癌腫と異なり多発性の傾向を有し,また再発あるいは新生傾向が強く,さらに高率に転移をきたす腫瘍である。したがつて膀胱癌ではできるだけ早期に膀胱全摘除術を行なうのが理想的であるが,現状においては否定的な意見を述べるものも多い。その理由としては同時に尿路変更術が行なわれるので,手術侵襲が大きいこと,また現在施行されている尿路変更法では術後血液生化学的不均衡,あるいは逆行性腎感染による腎障害などが起こるため,保存的手術療法の結果おこる再発の危険よりも尿路変更による障害自体の方が大であるとして膀胱全摘除術には否定的な立場をとつている1)2)3)。もちろん早期の癌に対しては比較的小範囲の手術療法も可能であり,私共はすでに本誌にも発表しているごとく,広範性の膀胱部分切除術を行なつて好成績を得ている4)5)。しかし臨床的には多発性か,または浸潤高度な場合もかなり多く認められ,全摘除術を行なう以外に根治的治療を行ない得ない場合があり,私共の教室でも現在までに87例の全摘除術を施行している。すなわちその成績の一部は鈴木ら6)がすでに発表しているが,私共の行なつている膀胱全摘除術は前立腺,精嚢腺とともに膀胱周囲組織および骨盤内リンパ組織まで一括して摘除する根治的膀胱全摘除術である。よつて今回は私共の行なつている根治的膀胱全摘除術の術式を主体に述べたいと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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