文献詳細
新薬治験
膀胱腫腸に対するマイトマイシンCの腔内注入療法(第1報)
著者: 志田圭三1 洞口龍夫1 篠崎忠利1 佐藤仁1 高橋薄朋1 田谷元佑1 加藤宣雄1 浦野悦郎1 大越正秋2 田崎寛2 尾関全彦2 松永重昂2 矢島暎夫2 永田正夫3 北村俊一3 川井博4 小川秀弥4 中神義三4 中村雄一4
所属機関: 1群馬大学医学部泌尿器科教室 2慶応義塾大学医学部泌尿器科教室 3日本大学医学部泌尿器科教室 4日本医科大学泌尿器科教室
ページ範囲:P.1057 - P.1058
文献概要
尿路の悪性腫瘍の内膀胱腫瘍はその解剖学的発生部位が特殊なだけでなく,腫瘍自体の形態が多彩であるためにその治療法は極めて多様で個々の症例に応じて外科的にあるいは放射線,制癌剤等の単独ないし併用治療が試みられている。しかしその治療の適応に関しては諸家により種々な意見が述べられているが,現在なお必ずしも統一的見解に達していない現状である。膀胱腫瘍中浸潤の浅いいわゆるパピロマトージスについても,その腫瘍の形態如何によつては外科的には高位切開ないし経尿道的電気焼灼切除,部分切除,膀胱剔出あるいは放射線の開創,体外,腔内照射等種々な方法が試みられており,その適応については一長一短がある。パピロマトージスのようないわゆる粘膜癌では多発中心性の傾向が強く,しばしば再発を繰返しつつ悪性度を高くしてゆくのが特徴であるが,これは粘膜における前癌状態の増殖性変化あるいはin Situの癌細胞に対する処置が単なる局所的治療では不可能なことにもその一因があると考えられる。そのために膀胱粘膜全体に対する処置として放射線による膀胱腔内照射あるいは抗癌剤の膀胱内注入法等が行なわれているわけである。膀胱内の抗癌剤注入に関してはR.J.Veenema(1962)がStage Aの乳頭状腫瘍に試みて好成績を得たとの報告がある。
掲載誌情報