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原著
特発性睾丸梗塞症・乳児にみられた睾丸壊死の1例
著者: 岸本孝1 甲斐祥生1 土屋哲1
所属機関: 1自衛隊中央病院泌尿器科
ページ範囲:P.155 - P.160
文献購入ページに移動睾丸壊死あるいは梗塞のうち,原因のはつきりしている睾丸回転症もしくは精索捻転症は,明治38年,山村の第1例以来現在まで,約200例の多きを数えており,もはや稀有なる疾患とは言い難くなつた感がある。これに較べ,その原因が判然としないいわゆる特発性睾丸梗塞症は,同様の疾患にも拘らず,全く別個のものとしてその統計的考察がなされており,しかもその数は梶谷(1935)8)以来現在まで35例を算するに過ぎず,欧米においてもVolkmann (1887)以来数十例のみであつて,まだまだ稀な疾患の1つに数えられよう。
われわれも最近,原因を捻転等に求められ得ない,生後11カ月の乳児の停留した睾丸に発症した症例を経験したので,その症例を報告し,併せて簡単なる統計的考察を試みた。
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