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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科21巻3号

1967年03月発行

雑誌目次

泌尿器科図譜・240

部分的漆灰腎

著者: 堀内誠三 ,   岡薫 ,   富田義男 ,   郷路勉

ページ範囲:P.204 - P.205

 患者 村○達○,30歳,♀,家婦。
 主訴 尿意頻数,排尿終末時痛。

泌尿器科図譜・241

陰茎異物(歯ブラシの柄の一部)の1例

著者: 田辺与市 ,   岡村喜明

ページ範囲:P.206 - P.207

 患者 鈴○某,16歳,♂,電話工,独身,東京在住。
 主訴 包皮下異物挿入,疼痛。

綜説

腎腫瘍

著者: 柿崎勉

ページ範囲:P.209 - P.215

はじめに
 10余年前筆者は東大泌尿科教室において腎腫瘍46例について臨床的および病理組織学的検査を行ない,その成績に基づいて当時における腎腫瘍の諸問題に検討を加えた53)。この10余年間に医学研究は多方面にわたつて急速な進歩を遂げたが,腎腫瘍については当時取上げられた諸問題はどのように進展しただろうか,またどのような新しい問題が発生して来ただろうか。これらの点を追求して見ることも意義あることと思われる。今回機会を与えられたので,腎腫瘍のうちの腎細胞癌について,これらの問題点を概観して見たいと思う。

手術手技

腎部分切除術

著者: 高井修道

ページ範囲:P.217 - P.221

Ⅰ.緒言
 保存的手術療法は近代外科学の成果の1つであり,腎臓外科においても限局性病巣に対し腎部分切除術(部分切除術と部分剔除術を分けて考える場合もあるが,ここでは半腎剔除術以外のものを総て切除術と呼んだ)が行なわれるようになつてきたことは周知の如くである。本手術は既に1887年Czerny1)が試み成功しているが,腎の解剖,生理や病理に関する知識が不充分であつたこと,手術適応の不正確なため,外科的技術の未熟のため失敗例が多く余り行なわれなかつた。輸血,化学療法の発達により手術成績が向上し,1950年前後から再び盛んに行なわれるようになり,Abes—house1)等は1950年腎結石症に対し行なわれたもの200例について蒐集報告を行なつている。結核の化学療法が導入されてから腎結核に対しても腎部分切除術が行なわれてきたが,最初はかなり批判的であつた。次第に多数例に行なつた報告例が出てきて,1955年Semb3)の128例,Steinbeck4)の100例等,我が国では1955年楠5)の22例等の報告があるが,その後腎結核に対する化学療法の発達により小病巣に対しては手術的療法を加える必要がないという考えが広まり,特にLattimer6)等は腎結核の大部分のものは化学療法のみで治療すべきで,ただ腎盂,尿管の広範な狭窄を伴うものや,膿腎症の場合にのみ腎剔除術を行なうという極端な意見を述べておる。

検査法

内科的腎検査の手技

著者: 木下康民 ,   柏村圭二

ページ範囲:P.223 - P.229

 我々が日常内科的腎疾患の診断・治療に際して行なう検査は,おおよそ第1表のようなものであり,大体はこれで間に合う筈である。これらは,Ⅰ)腎に課せられた役割(即ち,水・電解質代謝の調節,異物・代謝終末産物の排泄,血圧の調節など)に破綻がないかをみる検査,Ⅱ)その役割りを果す為に腎が保持している性能をみる検査,Ⅲ)これらを形態の上から把握しようとする組織学的な検査,の3つに大別される。腎の持つている代償能力は旺盛で,かなりの機能低下,あるいは形態学的変化を示すようになつても,Ⅰ)にまとめた役割的な検査には異常値を示さないことも多い。機能検査や形態学的検査が必要とされるゆえんである。
 ここでは本誌の性格上Ⅰにまとめた検査については成書にゆずることにして省略し,①腎機能検査の意義・手技・成績判定の際注意すべきことについて述べ,次に②経皮的腎生検の手技について記載することにする。

文献抄録

手術不能の腎癌と診断されて37年間生存/Basketによる尿管腫瘍の診断

ページ範囲:P.229 - P.229

 腎癌(副腎腫)の腎剔出術後にその肺転移巣の自然治癒を見たという報告はあるが,ここに述べる症例のように試験開腹によりその組織検査から副腎腫の確定診断をうけ,その術37年間の長期生存例は文献上見当らない。
 症例は68才男子で,既に1917年に左側腹部に腫瘤を指摘されたが,特に苦痛はないのでそのまま10年間放置した。1917年になり腫瘤は左腹部を占める巨大なものとなつたのでMilitary Hospital, Szegedにて開腹術をうけ,腫瘤は左腎から発生したものであり生検組織検査から淡明細胞癌と診断されたが,剔出不能として試験開腹に終つた。この腎癌は特に発育・転移をきたすことなく,患者は30年間異常なく経過した。1958年この患者は前立腺肥大のため前立腺剔出術をうけ当時左腎の開腹手術をすすめられたが,これをうけなかつた。

原著

人工透析例の検討

著者: 染野敬 ,   土田正義 ,   木村行雄 ,   菅原博厚 ,   加藤義明 ,   関野宏

ページ範囲:P.231 - P.235

Ⅰ.はじめに
 人工腎が使用されはじめた初期の対象は,主として急性腎不全などであつたが,その後種々の装置の改良に伴い,その効果も著しく改善され,慢性腎不全,肝不全などの疾患にも応用されて,長期間の延命効果が認められるようになつている。
 一方腹膜潅流はGanter1)らにより臨床的に応用されてから約40年間顧みられなかつたものであるが,間歇的腹膜灌流法2)が開発されてから装置および操作が,簡単であるため,慢性腎不全,肺水腫,心不全などと主として内科方面で盛んとなり,最近市販の潅流液もみられ,その普及は著しい。しかし,これらの方法はいずれも腎機能を部分的に代行,または補助する手段にすぎず,腎移植などの成功が切に望まれるところである。こうした根治的治療への期待とともに,全身状態の改善を主目的として,人工腎および腹膜潅流法は,ますます普及していくものと考えられる。このような観点から,私どもは,当教室で最近約2年間に経験した人工腎施行例と腹膜潅流例について,若干の検討を加えたいと思う。

前立腺および骨盤静脈系造影法—特にその手技について

著者: 東福寺英之 ,   石川博義

ページ範囲:P.237 - P.241

Ⅰ.はじめに
 骨盤静脈系をレ線撮影する試みの歴史は1935年K.Hutterが陰茎背面静脈に造影剤を注入したのに始まるが他の脈管造影法に比較して遅かつたのは造影剤を注入する部位が大きな問題となつたためと考えられる。しかし以来経皮的あるいは皮膚切開に陰茎背面静脈を露出して造影剤を注入する方法については内外多数の文献によって知ることができる。その他1950年GuglielmiあるいはOliverなどによって骨盤骨々髄内に造影剤を注入して骨盤静脈系を描出する方法が始められ更に恥骨,坐骨,腸骨結節,大転子などに造影剤が注入されている。しかしこの方法は手技が複雑なため一般化するに至らなかつた。同じ目的のため陰茎海綿体内に造影剤を注入する方法は1950年De laPenaによつて始められ市川ら(1953),Zehman(1950)などによって種々の変法が発表され手技の簡便な点から広く行なわれるようになつた。更に1964年Berghausは水性造影剤を前立腺周囲静脈叢内に注入するPeriprostatic Serienphlebog-raphyを発表し局所に何らの障害なく骨盤静脈系を描出することに成功している。
 前立腺をレ線撮影上描出する方法は少なくないが最も広く行なわれているのは尿道内に造影剤を注入し尿道前立腺部の描出によつて前立腺の大きさを推定する方法である。

膀胱子宮頸管瘻について

著者: 百瀬剛一 ,   遠藤博志

ページ範囲:P.243 - P.249

Ⅰ.緒言
 産婦人科的処置による腟性尿漏は,患者の外陰を汚染,皮膚炎をおこし,更に二次感染が加わり,悪臭を放つなど極めて不快の念をいだかせ,患者に与える精神的影響も大きいものである。
 我々は子宮発育不全のために鉗子分娩を行ない,その後発現した腟性尿漏に膀胱子宮頸管瘻を確認した1例を経験したので,症例を報告すると共に本症に対して若干の考察を加えた。

尿膜管結核症の2例

著者: 猪野毛健男 ,   阿部弥理

ページ範囲:P.251 - P.255

I.緒言
 1930年Beggの尿膜管に関する詳細な論文が発表され,更に本邦では1949年辻の総説が出版されて以来,尿膜管に基因する諸疾患の報告例は段々と増加して来ているが,なお比較的稀なものである。特に尿膜管の結核性病変の報告は極めて少く,今日までわずか15例の報告を見るに過ぎない。
 私達は最近,尿膜管の結核2例を経験したので以下報告する。

巨大膀胱憩室の1例

著者: 大堀勉 ,   小柴健 ,   村本俊一

ページ範囲:P.257 - P.260

Ⅰ.緒言
 膀胱憩室については数多くの報告があり,その診断,治療,病理についてもすでに詳細に検討されている。しかし,その巨大型は比較的少なく,なかでも女子における巨大型は非常に稀なものといわれている。
 著者らは最近,35才の女子に見られた巨大膀胱憩室の1例を経験したので,その概要をここに報告する。

尿道全剔除術及び膀胱弁管尿道形成術による女子尿道癌の治療

著者: 伊藤秦二 ,   中新井邦夫 ,   中村麻瑳男 ,   宮川光生

ページ範囲:P.261 - P.265

 女子尿道癌が尿道の全剔除を必要とする場合,その後尿路をどこへ導くかは重要な問題である。Herbutも指摘しているように尿道癌は膀胱頸部に向つて進行しても膀胱そのものを侵すことは稀である。従つて尿道を剔除したあとの尿路の再建にはその健常な膀胱を利用するのが好ましい。これは膀胱の蓄尿能力と尿管膀胱移行部の生理機構を保存する意味においてそうである。
 この目的にそうためには膀胱弁を用いる手術法が考えられる。膀胱前壁に短冊状の有茎の膀胱弁を形成し,これを管状にして恥骨上に出す方法はBarnes et al.(1653)により報告され,本邦においても下江ら(1961)の追試報告がある。

Urological Letter

椎間板手術による尿管損傷,他

ページ範囲:P.234 - P.234

 腰椎々間板手術のあとに長くつづくイレウスの患者をみたら,尿管損傷を一応疑うべきである。この診断は手術の約3週後につけられるのが普通である。この損傷の可能性のある患者を最近の対診でみつけえた。その患者は仙骨前に尿が溜まって触診できる程になつていた。排泄性腎盂像を撮つてみると両側の水腎症がみられたが,他には何も分らなかつた。そこで逆行性腎盂像を撮つてみると腰椎第4から第5の高さで尿管瘻のあることが分つた。この例は幸に早期に診断がついたので,入院日数も短かく患者の苦痛も早くとり除いてやれた。Sandoz andHogesは同様の症例(J.Urol.93:689, 1965)を報告している。HODGESの例は第3例目である。椎間板手術の合併症として,大血管の損傷は100例以上報告されているが尿管損傷は稀である。併しこれのおこる可能性を考慮しておくことは大切である。

新薬治験

泌尿器疾患におけるWY−3498錠(Oxazepam)の使用経験

著者: 岡直友 ,   伊藤栄彦 ,   長谷川進 ,   所忠

ページ範囲:P.267 - P.269

I.緒言
 WY3498錠(OXAZEPAM)はChlordiazepoxideの群に属する新しいBenzodiazepin製剤であり,中枢神経抑制作用を持つ精神安定剤であるが,泌尿器疾患のうち,特に神経症状を伴つた成人例に対して1日量30mgを投与してその臨床的効果を検討した。

BC-80Hの使用経験

著者: 落合京一郎 ,   稲田俊雄

ページ範囲:P.271 - P.279

I.はじめに
 新しい血管造影剤,BC−80(Jodamide)による排泄性腎盂撮影40例,腎動脈撮影ならびに骨盤内動脈撮影10例についての使用経験を報告する。なお本造影剤は武田薬品工業株式会社から提供されたものである.
 BC−80は次記のような構造式を示すが,われわれが臨床的に使用したBC−80Hは,1アンプル中にNa塩とMG (メチールグルカミン)塩の混合液として80w/v%(ヨード含有量に換算して,380mg/mlの溶液20ml)の濃度を有するものである。すなわち,Tri-Jod系のDiatrizoateに属し,従来使用されているもののうちではウログラフィンに類似する造影剤ということができる。なお,われわれが比較検討に供した80% Angio-conray (ヨード含有量480mg/ml)よりは低濃度である。粘稠度は10.7cps (37℃),比重は1.43, LD−50g/kgはマウスで9.0,ラットで11.4,家兎では13.2である。

泌尿器科領域におけるAF−864(ベンチリン)の使用経験

著者: 近藤厚 ,   清水純 ,   天本太平 ,   進藤和彦

ページ範囲:P.281 - P.285

I.緒言
 AF−864(Benzydamine hydrochloride)は下記の構造式を有する非ステロイド性の抗炎症剤で,1964年以来主としてイタリア,ドイツ,オランダにおいて各科領域の炎症性疾患に対して臨床実験が行なわれて,優れた抗炎症作用と鎮痛作用を有することが認められている。
 今回我々は吉富製薬株式会社からAF−864(Benzyda-mine hydrochloride)の提供を受け,泌尿器科領域における非特異的炎症性疾患,器械的検査後および術後の患者に使用する機会を得,その効果を検討したので報告する。

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日本泌尿器科学会の変遷(3)

著者: 田村一

ページ範囲:P.289 - P.289

 その後皮膚科泌尿器科両学会共に総会に申込まれる演題がだんだん多くなり,その処理選択に主催者が頭を悩ますことが年毎にはなはだしくなった,そこで総会の在り方についても種々議論が起って来た。一方両学会が昭和4年以来25年間相携えて総会を催して来たのであるが,学界の進歩は,泌尿器科を外科的に,皮膚科を内科的に進展させ,両学会の鍵となって来た性病も抗生物質の出現によって漸次力弱い存在となって来たので,両学会の合同開催を根本的に検討すべき時期が到来した。これ等の情勢に鑑み,昭和29年度の第42回総会は,会場こそ同じ東大法学部講堂を使用したが,懇親会を上野精養軒に合同で催しただけで,その他は全く独立開催の形式をとつた。当時はまだ殆んどの一般病院では両科が分離していなかったので,両学会に出席聴講するのには5日も滞在しなくてはならぬ過重の負担に嘆息を洩らすものも多かった。従って当時の評議員会に於ける次回および次々回総回の開催地選定に関して,両学会共に種々の議論が湧いた。その翌年即ち昭和30年は第14回日本医学会総会で京都に開催することに決定しているのて問題はなかったが,次々回昭和31年の総会は皮膚科は仙台市(会頭伊藤実教授),泌尿器科は札幌市(会長辻一郎教授)と,それぞれ分かれて開催することになった。

外国文献

ページ範囲:P.300 - P.301

THE JOURNAL OF UROLOGY Vol.96, No.3, September 1966
American Urology: Freedom and Responsibility. H.J.Jewett 273
Use of Mercury−203 Scintiscan in Experimental Renal Trauma.R.Betti, R.Palumbo, M.De Santis, U.Senin and E.Biasini 278

内国文献

ページ範囲:P.302 - P.303

腎,副腎,後腹膜
 ○ 腎臓疾患の出血性素因と線溶系に関する最近の知見,斎藤宏:治療,48; 12, 1966.
 ○ 細菌性腎盂腎炎,上田泰他:日本臨床,24; 12, 1966.

随筆

印象に残つた症例

著者: 中川小四郎

ページ範囲:P.290 - P.290

 過日,本誌「臨床泌尿器科」編集室から随筆の原稿を送るようにとの依頼があつたので,取り敢えず承諾のご返事を差し上げて置いたわけだが,さて筆を執つてみると,過去数十年間にわたる筆者の臨床生活を通じ,印象に残つた症例もしくは誤診の体験は,蓋し枚挙に遑がないであろうことを告白せざるを得ない次第である。
 かようなわけで,以下記載する2〜3の症例はただたまたま思い出されたものであり,かつこれらは特に印象的のものというわけではなく,筆者が未熟な医師としての時代におけるものであつて,今から考えると極めてありふれたものに過ぎないが,ここに貴重な紙面をかりて,古い過去を偲び,併せて現在の進歩せる医学医術に対し,今更のごとくその認識を新たにしたいと考えたわけである。ここに古い過去とは筆者が大正9年頃から約10年間にわたり,岡山医専から岡山医大に勤務していた頃のことであつて,以下の記事はもとより,関係病歴などを根拠にしているわけではなく,従つて患者の性別を除き,初診年月日,年齢,既往歴に関する正確な事項は全く不明というの外なく,言わば非学術的漫筆にすぎないものであることを,予めご承知おき願いたい。

見聞記

第3回国際腎臓学会における腎移植に関する演題の紹介・2

著者: 中村宏

ページ範囲:P.291 - P.294

 今月は先月号に引き続き,generalsessionにおける演説の要旨を御紹介する。このsessionはPeterBent Brigham Hosp.のDr.J.P.Merrillの司会で開かれた。

印象記

第18回西日本連合地方会印象記

著者: 後藤甫 ,   西尾徹也 ,   徳原正洋

ページ範囲:P.295 - P.297

 日本泌尿器科学会第18回西日本連合地方会は,山口大学の仁平寛己教授を会長として,昭和41年10月22,23日に宇部市労働会館で催された。呈された一般演題数は57,外人の講演を含めて招請講演3,シンポジウム2,特別講演1で,参加者も300名に及びかなりの盛会であつた。
 この印象記はあくまでも筆者等の感想記である。ある部分では筆者等の興味で,また他では発表の真意を充分にとり得ないで誤りを書いているかも知れないし,また敬称はすべて省いたことをあらかじめお許し願いたい。

教室だより

弘前大学

著者: 白岩康夫

ページ範囲:P.298 - P.298

 弘前大学は新しい大学である。設立当初から教室も大学とともに苦難の途を歩いた。昭和20年4月,第2次大戦が末期に近づいた時,青森医学専門学校皮膚科泌尿器科教室として発足したものの,7月の青森大空襲によつて焼失し,当時青森市にあつた大学は落ちつく先がないまま学校自体が存廃の危機にさらされ,昭和22年3月弘前市に移転した。その後学制改革にともない,昭和23年7月弘前医科大学皮膚科泌尿器科教室,昭和28年弘前大学医学部皮膚科泌尿器科教室と相ついで名称を変更することになつた。この間杉山萬喜蔵教授が教室を主宰され,第17回皮膚科・第18回泌尿器科東日本連合地方会を開催する他教室の発展に尽された。杉山教授が急逝された後,昭和32年5月帷子康雄教授が皮膚科泌尿器科教授として就任された。その後昭和37年皮膚科と泌尿器科の分離が実現し,東北大学から外科学に御造詣の深い舟生富寿教授を迎え,弘前大学医学部泌尿器科学教室として9月開講の運びとなり,ここに面目一新,新しい第1歩を踏み出したのである。
 教室のテーマは多彩であるが,先ず泌尿器科手術法には充分な検討が行なわれていない点があると思われるので,教授の豊富な外科経験を生かし,種々手術法の改良を行なつている。今までに発表されたもの,または発表予定のものとして後部尿道,尿管下部結石,膀胱腟瘻,前立腺肥大症などに対する手術法の他,被膜内前立腺摘除術がある。

長崎大学

著者: 清水純

ページ範囲:P.299 - P.299

 昭和32年11月,西洋医学教育発祥百年,長崎大学医学部開学百周年を記念しで作られた「長崎医学百年史」を見ますと,「安政四年本学を開講したポンペは,長崎における性病の蔓延を憤り,種々対策を講じ検梅を実施した。更に明治初年より皮膚病および梅毒学として,外科学の一分科として取扱われるようになり,長崎医学校時代以後講座を分担した。大正3年5月,青木大勇先生が専任教授として着任され,ここに始めて皮膚科,泌尿器科教室の独立を見た。」とあります。
 皮膚科,泌尿器科教室ができてから,爾後歴代の教授が教室の発展につくされて参りましたが,昭和20年,北村包彦教授が御在任当時,あのいまわしい原爆の被災により,大学は全く壊滅的な打撃を受けました。戦後,北村精一教授を迎え,教授の再建に,また存在すら危ぶまれた母校の復興につくされ,戦後の皮膚科,泌尿器科教室の母地を復興されました。そして1昨年には,皮泌科教室50周年記念式を行なうことができるまでになつた事はまことに感慨深いものがあります。

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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