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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科21巻4号

1967年04月発行

手術手技

腎盂形成術

著者: 岡直友1

所属機関: 1名古屋市立大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.321 - P.331

文献概要

 水腎で腎盂形成術の直接の対象となるのは尿管起始部(UPJ)の種々の通過障害に原因するものである。術前にその原因を確かめ,十分な手術計画のもとに最も適する形成術を行なうのがよいのはいうまでもないが,術前の原因的診断は心ずしも容易であるとは限らない。こんな場合には,兎に角手術に掛つて,手術野ではじめて通過障害の実体を知り,臨機応変の形成術を施行せねばならないこともあるのであつて,2-3の基本的な術式の知識をもつていることが心要である。
 UPJの通過障害ないし狭窄は逆行性腎盂尿管撮影法によつておよその消息を知ることができるとはいうものの,実際にこれを行なつてみると,通過障害の部分ならびにそれより上方にはうまく造影剤が入らなかつたり,あるいは造影剤が入つても肝腎の部分が描出されないことはしばしば経験される。腎盂形成術の成績には尿路感染が大いに影響するものであるから,形成術を試みるときは術前術後にわたつて無菌的ないし殺菌的処置がなされるように細心の注意を致すことが必要である。かかる点からいつて,感染を起し易い術前の逆行性腎盂尿管撮影法を禁忌とする学者もいる。一旦尿貯溜の著しい拡張した腎盂腔に感染が起つたら,それが容易に除去されぬためのみならず,既に水腎性障害を受けている病的腎に感染が加わることは腎を極めて不利な状態に陥れるからである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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