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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科21巻7号

1967年07月発行

雑誌目次

図譜・248

巨大膀胱憩室

著者: 小川秀弥

ページ範囲:P.600 - P.601

 患者 61才,男子。
 主訴 排尿困難および残尿。

図譜・249

膀胱異物の2症例

著者: 小池六郎

ページ範囲:P.602 - P.603

 〔症例1〕14才男子(中学2年生)。
 現病歴 排尿時初期疼痛の主訴で来院。尿は僅かに混濁しており,沈査に赤血球,白血球および桿菌を認めたので急性膀胱炎と診断し,サルフア剤を投与し症状は軽快した。所が初診1カ月半後に,運動後血尿を認めたといつて再び来院した。

原著

Congenital unilateral multicystic kidneyの1例

著者: 関野宏 ,   木村行雄 ,   土田正義 ,   沼沢弘

ページ範囲:P.617 - P.621

Ⅰ.緒言
 Congenital unilateral multicystic kidneyという疾患は,1936年Schwartz1)の命名によるものであるが,本邦では一般に先天性偏側性多嚢腎と呼称されている。
 本症は,主として小児にみられる先天性の嚢胞性腎疾患であり,極めて興味深い特微的所見をもつている。しかしながら,その報告例が非常にまれであるために,従来多くの人の注意を惹くに至らず,欧米の文献上でも過去に数十を数えるのみで,しかも本症を認識せずに他の疾患と混同して報告している例が少なくない。本邦における報告はさらに少なく,私どもの検索で明らかに本症と認められるものは,わずかに2例を数えるにすぎない。

巨大腎動脈瘤の1剖検例

著者: 南後千秋 ,   岩佐嘉郎 ,   江上三義 ,   安念有声

ページ範囲:P.623 - P.627

 腎動脈瘤は従来まれな疾患とされていたが,種々の検査法,ことに大動脈撮影の普及とともに報告例が増加し,岸本ら1)(1961)の集計によると,外国で222例が報告されている。本邦における腎動脈瘤症例は少なく,著者らが調べ得た範囲では,本例を含めて8例の報告をみるにすぎない。
 最近,著者らは巨大腎動脈瘤の1例を経験したので報告する。

下大静脈後尿管の2例

著者: 中平正美 ,   白勢克彦 ,   大橋秀世

ページ範囲:P.629 - P.634

Ⅰ.緒言
 下大静脈後尿管は胎生期における下大静脈の発生異常による尿管の走行異常とされている。本症の最初の報告は,欧米では,1893年にHochstetterが剖検上,1935年にKimbroughが臨床上,本邦では,1929年に喜多が剖検上,1941年に山本が臨床上行なつている。かつてNielsenによれば剖検例1000例中に0.9例の割合にみられたとされているが,これは本疾患が極めてまれなものといえないであろうことを暗示している。これを裏づけるように最近の泌尿器科学の進歩,一般の認識の向上により本症報告例が増加してきている。すでに欧米では1960年までに90例以上となり,本邦では1965年までに我々の症例を含めて49例を数えている。我々も典型的なウログラムを呈し,術前診断可能で,手術でこれを確認,かつ整復術を行ない得た2例を経験したので報告する。

新生児膀胱に発生した胎児性横紋筋肉腫の1例

著者: 菅原奎二 ,   加藤哲郎 ,   三浦忠雄 ,   鈴木騏一 ,   杉田篤生 ,   加藤正和 ,   小野寺豊

ページ範囲:P.635 - P.639

I.緒言
 小児の膀胱腫瘍は比較的稀なものであり,しかもそのほとんどが悪性度の高い肉腫である。
 私どもは昭和34年4月より昭和41年8月までの7年5カ月間に220例の膀胱腫瘍を経験しているが,最近新生児の膀胱に発生した胎児性横紋筋肉腫の1例を経験したので報告するとともに,いささかの文献的考察を試みた。

散弾による開放性直腸,尿道損傷の治験例

著者: 井上武夫 ,   平野昭彦 ,   塩崎洋

ページ範囲:P.641 - P.645

Ⅰ.緒言
 散弾による損傷は,特に至近距離においては,ただ1発でも多発性に臓器の損傷をきたすために,外科医にとつて,特に問題となるものである。古くより,刺抗創は特殊な外傷として扱われているが,散弾による外傷もこれに近いものと考えられる。刺抗創の報告は,外科泌尿器科領域において,時に散見するが,至近距離からの散弾による外傷は極めて稀である。しかし,最近は狩猟も盛んになつているので,将来かかる外傷を扱う機会も多いと思う。我々は,第3者の暴発による直腸,尿道盲管銃創例を経験し,いささか得る所があつたので報告する。

副睾丸のAdenomatoid Tumorの1例

著者: 桜根孝志 ,   稲垣侑

ページ範囲:P.647 - P.649

Ⅰ.緒言
 いわゆるAdenomatoid Tumorなる語は,Golden & Ash(1945)によるもので,欧米における報告例は100例以上に達すると推定されるが,本邦における報告は意外に少なく,今日までに19例を数えるにすぎない。
 著者らは最近その1例を経験したのでこれを報告する。

文献抄録

膀胱粘膜の置換とその発癌態度/ベトナム戦争における泌尿器損傷

ページ範囲:P.644 - P.644

 膀胱の乳頭状腫瘍は移行上皮粘膜から発生しかつ再発を繰返しつつ悪性化をしてゆくのが特徴である。そこで理論的には膀胱の粘膜を他組織で置換代用をすれば発癌防止の効果を期待し得ると考えられる。著者は1956年に膀胱粘膜を皮膚にて置換した犬ではβ-ナフチルァミンの投与で膀胱に発癌しないことを報告した。その後犬による基礎実験で膀胱粘膜を腹膜,口腔粘膜,皮膚等にて置換し得ることを知つたので,今回は42頭の雌成犬を用いて上記組織による膀胱粘膜置換手術および回腸膀胱造設術等を施行し生存成犬にβ-ナフチルアミンを4ヵ年の長期にわたつて経口投与し発癌態度を観察したので報告する。42頭中皮膚置換20頭,口腔粘膜6頭,腹膜9頭,膀胱回腸吻合7頭,の手術を施行し術後生存したのが30頭。これらの成犬に対して初めの2年間は毎日500mgのβ-ナフチルアミン,次の2年間は1000mgに増量して経口投与しつつ飼育した。この間17頭が死亡したが膀胱には発癌を見なかつた。結局4カ年の長期間生存した13頭について見ると膀胱に移植した皮膚,口腔粘膜,腹膜,腸粘膜には全く腫瘍の発生を見なかつたが,移植組織を囲む残存膀胱粘膜には13頭中10頭にGradeⅡの移行上皮癌が発生していた。

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日本泌尿器科学会の変遷(7)

著者: 田村一

ページ範囲:P.654 - P.654

—坂口賞について(1)—
 日本泌尿器科学会総会において毎年坂口賞が授与されている。この坂口賞について高橋名誉会長は昭和29年12月19日に東大に開催された本学会東京地方会第200回記念会の特別講演「日本泌尿器科学会回顧談」(日泌会誌46巻4号308頁昭和30年4月1955年)の中でその発端を語つていられる。
 昭和11年3月或日,坂口博士が遠山郁三,中野等,広川和一,北川正惇の諸博士並びに私高橋明を木挽町(今の銀座東)の萬安という料亭に招き食事を共にしつつ徐うに申出られた。それは日本泌尿器科学会の発展隆盛を計る目的を以て論文懸賞の資金として金若千円を同学会に寄附したいから,諸君も協力方を賛成して呉れとの事であつた。これに対して諸員は万場一致賛意を表し,発案者の意旨の徹底するように協力すべきことを述べた。

外国文献

ページ範囲:P.660 - P.664

THE JOURNAL OF UROLOGY Vol.97 No.1, January 1967
Cystic Disorders of Kidney: Review of Pathoge-nesis and Classification.L.Wahlqvist 1
Ballottement of Peripelvic Cyst for Operative Diagnosis and Localization.F.Hinman, Jr.7

内国文献

ページ範囲:P.665 - P.666

腎,腎孟
 ○ Wilms'tumorに対するActinomycin-Dの効果,大田黒和生:医学のあゆみ,61;441,1967.
 ○ 腎動脈狭窄および副腎皮質腺腫を伴う高血圧症,武田忠直:医学のあゆみ,61;442,1967.

見聞記

Santa Barbara移植会議

著者: 中村宏

ページ範囲:P.655 - P.658

 1967年1月11日から3日間,Cali-forniaのSanta BarbaraのBilt-more Hotelで移植会議が開かれた。議長はUniv.of California, LosAngelesのDr.William P.Long-mire, Jr.でUCLAが世話役を務めていた。Santa Barbaraは絵のように美しい避寒地として有名な所で,1月でも日中は65-70°F (約18−21℃)位で,水着姿も見受けられ,冬期に会議を行なう絶好の場所のように思われた。この会議は定期的に開かれる性格のものではないのだが,現在アメリカ合衆国では,移植の研究に莫大な研究費が投じられており,こういう会議を開く費用も容易に捻出され,移植の研究は始まつてから未だ日が浅く,頻繁にこういう会議を持つてはお互いに新知見を交換し,研究の無駄を省くようにしているというのが実情のように察せられた。正直な所,移植の研究の行なわれている施設数,規模に比して会議や学会の数の方が多過ぎて,演題の内容に新鮮味を欠くものも多く見られる。今回の会議でも,昨年秋に開かれた国際腎臓学会や外科学総会で発表されたものとほとんど同じ内容のものも多かつた。

教室だより

東北大学

著者: 土田正義

ページ範囲:P.659 - P.659

 当教室は8年前の昭和34年4月に,福島医科大学宍戸外科から宍戸仙太郎教授が主宰者として着任され,開設された。宍戸教授は昭和10年東北大学医学部卒,杉村外科教室に入局され,武藤外科助教授,福島医大教授を歴任され現在に至っている。
 教室新設翌年の昭和35年4月,教授は第48回日本泌尿器科学会総会において,特別講演「膀胱の脊髄支配に関する実験的研究」を発表された。これは宍戸外科時代から教授が,life workとされてきた神経支配に関する業績を,さらに一歩進めたものであって,これらの研究を通じて用いられた犬の脊髄根切断実験は,その後も教室のお家芸となって各種の研究に応用され,この医局にいて犬の根切りを一度もやったことのない者はモグリだといわれるほどになっている。

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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