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原著
下大静脈後尿管の2例
著者: 中平正美1 白勢克彦2 大橋秀世2
所属機関: 1山梨県立中央病院泌尿器科部 2信州大学医学部泌尿器科教室
ページ範囲:P.629 - P.634
文献購入ページに移動下大静脈後尿管は胎生期における下大静脈の発生異常による尿管の走行異常とされている。本症の最初の報告は,欧米では,1893年にHochstetterが剖検上,1935年にKimbroughが臨床上,本邦では,1929年に喜多が剖検上,1941年に山本が臨床上行なつている。かつてNielsenによれば剖検例1000例中に0.9例の割合にみられたとされているが,これは本疾患が極めてまれなものといえないであろうことを暗示している。これを裏づけるように最近の泌尿器科学の進歩,一般の認識の向上により本症報告例が増加してきている。すでに欧米では1960年までに90例以上となり,本邦では1965年までに我々の症例を含めて49例を数えている。我々も典型的なウログラムを呈し,術前診断可能で,手術でこれを確認,かつ整復術を行ない得た2例を経験したので報告する。
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